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庭と一体となる暮らしランドスケープに溶け込むハーフビルドの箱

インテリア

多摩御陵へと続くケヤキ並木の参道沿い。ランドスケープデザイナーの石川洋一郎さんは、風景に溶け込む家をハーフビルドで建てた。

吹き抜けに設けた開口から、光が差し込む。ペレットストーブの温かな空気も2階へ届けられる。

ベッドルームのある2階もまた、未完の状態からつくっていった。主寝室に子供部屋、ゲストルーム、シャワールームがあるが、それらをつなぐのは、廊下ではなく共用部。
「余白を残しておきたいし、閉じこもる空間をなるべく減らしたい。だから廊下は要らないと思いました。廊下にあたるスペースにはソファーと本棚を置き、子供たちが読書などをして楽しんでいます」。
床の一部には強化ガラスをはめ込んで、1階を見下ろせるように。ガラスを通して家族のコミュンケーションが図れるほか、屋根のトップライトからの光を、1階にまで届けることができる。
「2階の床は、入居してからクルミの木をDIYで張ったんです。寝室のクローゼットもクルミの木を使い、後からつくりました」。
天井まで届く高さの主寝室のクローゼットは、石川さんがデザインして家具職人が造作。ベッドフレームもDIYで作成した。読書スペースの窓の先には、これからデッキもつくる予定だという。ハーフビルドは続いている。

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廊下の概念を覆す共用部。DIYで設けた本棚は、奥のゲストルームの仕切り代わりにもなっている。

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共用部に置いたソファーで読書をするインディゴちゃん。シャワールームの扉はベニヤで仮につけたもの。

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階段を登ると現れる一角。集成材に色を塗りDIYで作った棚を本棚に。壁にはお子さんの作品を飾る。

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海外のファームハウスのような主寝室。ベッドはベニヤにベンガラ塗料を塗ってDIY。

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クルミの木のクローゼットも石川さんがデザイン。取っ手の代わりに手をかけられる凹みをつけた。

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ゲストルームには小上がりを設け、琉球畳を敷いた。クローゼットと棚の裏側は共用部の本棚になっており、壁代わりでもある。

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ロフトのある子供部屋。柵はテーブルの代わりにも。当初なかった階段はクルミの木でデザインし、後から大工さんと施工した。

1階のキッチンの奥には、メアリーさんが開く英語教室やワークショップのためのアトリエも設けた。
「近所の子供たちがやってきて、いつも賑やかなんです。2階のゲストルームにはホームステイの学生も招いています。家という垣根なく、みんなが集える場所にするのが理想ですね」。
リビングから続く庭にもいずれウッドデッキをつくる予定だが、今はタープを張り、近所の人を招いてバーベキューなどを楽しんでいるそうだ。
「いつ竣工するんですかって聞かれるんですけど(笑)、住んでいるとどんどん新しくやりたいことが増えてきて、いつまでも完成はないんです。庭と同じように試行錯誤していくことが、こういうところに暮らすライフスタイルだと思っています」。

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TREEFORTE inc.代表・ランドスケープデザイナー、石川洋一郎さん。メキシコ原産のユッカなど、庭には立派なグリーンが多数。

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開け放った開口から、心地よい空気が流れる。人間は潜在的に植物に癒されるという、“バイオフィリア”の仮説に納得。

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近所の人も気軽に訪れるアウトドアリビング。ここで過ごす時間が長いそう。

石川邸
設計 shushi architects

shushi architects

所在地 東京都八王子市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 150㎡

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