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別荘地のように静かで緑に囲まれた家 緑と空の見える図書室でゆったりと本を読んで過ごす

インテリア

静かな環境のなかに立つ上野邸。奥さんが「静かで明るく、最高の空間かなと思っています」と話すのは半地下にある図書室だ。開口からは緑と空だけが見えるという。

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地下室からルーバー状の床を見上げる。左下の鉄棒は上野さんが懸垂をするために取り付けられたもの。

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階段室を1階から見る。

道路側にアズキナシが立ち、奥の庭にはオオサカズキとシラカシなどが植えられているが、それらの緑は2階からも楽しむことができる。下階とはまた違う角度から緑に接することのできる2階は家型の天井がL字でつながっている。
「勾配屋根の木造の2階は天井を自由につくりやすいので、空間に変化をつけるためにL字のプランのままに家型の天井をつなげてみました。家型にするとフラットな天井よりも陰影が出るし、陰の部分も時間によって表情が変わっていくので面白いのではないかと」(村田さん)
リビングダイニングと一体的につくられたキッチンでは、食洗器をビルトインにするなど隠せるものはなるべく隠して表にモノが出ないようにするほか、広さについてのリクエストがあった。「2人立てるような広さにしてくださいとお願いしました。一緒に料理することも多いので、2人いてもつっかからないような広さがほしいとお伝えしました」(奥さん)

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リビングからダイニングとキッチンを見る。キッチンは夫婦2人で作業ができるよう広めにつくった。家型の天井を交差させた部分は少し不思議な印象を与える造形になっている。

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ダイニングとキッチンを見る。ダイニングからキッチン内のモノが見えないようキッチンを囲む壁の部分を高くしている。

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2階は引き戸で階段室が仕切られるようになっている。

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約24㎡あるリビングダイニング。表と庭側の2つの開口のほかにテレビの上にも開口が開けられていて室内が明るい上に天井も高めで快適に過ごせる空間になっている。

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キッチンからリビングを見る。右の開口からはアズキナシの木がよく見える。

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リビングから庭の方向を見る。オオサカズキが少し紅葉しているのが見える。

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アズキナシの前の室内にも緑が置かれている。

最後にこの家で5年ほど暮らされての感想をうかがった。「図書室がいちばん好きなスペースですね。両方に緑と空が見えてまた静かで明るい部屋なので、最高の空間かなと思っています」と奥さん。さらに2階のキッチンスペースも好きという。「キッチンに立つとちょうどアズキナシがダイレクトに見られてお気に入りの場所ですね」
上野さんも自らの強い希望でつくった図書室がやはりとても気に入っているという。「しかし、僕がメインで使おうと思っていた当初の予定と違って家族に取られてしまうことが多い」と話す。3月からのコロナ禍のもとでは大学で英語の教師をされている奥さんがZoomでオンライン授業を行う際に図書室を使っているため「ほぼ使えない」状態になっているという。
「Zoomでは皆さん背景を替えたりしますが、うちではそのまま室内を映しています。そうすると大きな本棚とその後ろの中庭の緑が大きな開口を通して見えるので、“ここはどちらですか?”とよく聞かれます。今は思っていたほど図書室で過ごすことができていないですが、やっぱりあそこに座るとすごく落ち着くし集中もできるのですごくいいですね」。こう話す上野さんには、世の中とはまた別にもうひとつ、「コロナ禍が早く過ぎ去ってほしい」と願う強力な理由があるように思えた。

上野邸
設計 村田淳建築研究室
所在地 東京都三鷹市
構造 木造
規模 地上2階地下1階
延床面積 142.19㎡

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