自身の代名詞ともいえるような、長年愛され続けている作品をもつ作家さんに、その作品の誕生秘話を語っていただく連載企画。第19回目は、MaHoMeさんと「いろいろ出てくる絵の具ブローチ」の登場です。
MaHoMe
画材アクセサリー「いろいろ出てくる絵の具ブローチ」を中心に、原型から作品を制作。
MaHoMeさんが手がける「いろいろ出てくる絵の具ブローチ」。絵の具の先から、にゅっと飛び出てくるのは、パンダ、メロンパン、宇宙!?「次は何が飛び出てくるのかたのしみ」「思わず集めたくなる!」と、注目を集め続けている人気作品です。
そんなユーモア抜群のブローチが生まれたきっかけや、アイデアの源とは?
今回は、MaHeMeさんの「いろいろ出てくる絵の具ブローチ」ヒストリーに迫りました。
「好き」がいっぱい
MaHoMeさんの作品は、パーツの原型そのものなど、細かい部分までひとつひとつ丁寧に手でつくられています。もともと「ものづくり」がお好きだったのでしょうか。
MaHoMe: はい。つくることはずっと前から好きで、主に樹脂粘土やレジンなどで作品をつくっていました。イベントにも出たりしていましたね。
「いろいろ出てくる絵の具ブローチ」はどのように生まれたのでしょう。
MaHoMe: イベントに参加し始めた当時、広い会場の中で「いかに自分の作品を覚えてもらうか」ということを課題にしていました。
モチーフを何かひとつに定めたほうが、世界観もわかりやすいですし、目に留まりやすくて良いだろうなとも考えたのですが、わたしは好きなものが多くて(笑)。なかなかひとつに絞ることができませんでした。
MaHoMe: 統一感を持って好きなものをいろいろつくるためには、と考え続ける日々の中で、ひとつの軸をつくり、そこに関連させるようにつくれば、まとまりが出るかもしれないと思ったんです。たとえば、ひとつの何かからいろいろなものが出てくるとか…と、そこでひらめいたのが「絵の具ブローチ」でした。
絵の具からいろいろ出てくるという発想は、「統一感」「好きなものをつくること」、その両方をあきらめずに考え抜いた結果、生まれたものだったんですね。
MaHoMe: 「いろいろ出てくる絵の具ブローチ」と名付けて、名前の通り本当に自由に、いろいろなものをにゅっと出させていただいて(笑)。わたし自身、とてもたのしく制作しています。
みんなのアイデアをかたちに
いちばんはじめに「絵の具ブローチ」から出てきたものが気になります。
MaHoMe: 最初は、宇宙(Cosmic色)、次がパンダ(Panda色)です。
このふたつは今でもとても人気で、「プレゼントとして」「はじめて選ぶ一色として」、たくさんの方に手に取っていただいています。
宇宙、パンダ。出てくるものの意外性が、ファンのかたのワクワクにつながっているように感じます。「いろいろ出てくる絵の具ブローチ」を制作する上でのこだわりをおしえてください。
MaHoMe: いつも考えているのは、リアルとファンタジーのバランスです。
チューブ部分は、リアル、身近にある見知ったものです。対して、絵の具部分は、ファンタジー。実際には出てこない宇宙やパンダが飛び出してきます。
MaHoMe: このふたつをバランスよく組み合わせることで、おもしろい!と思ってもらえるのかなと考えているので、毎回組み合わせには試行錯誤しています。
絶妙なバランスは見事だなと思います。今では、まさに絵の具の色数のように、たくさんのバリエーションがありますね。
MaHoMe: 2015年の「minneハンドメイド大賞」で、12色の絵の具ブローチを収めたセットを制作したことをきっかけに、一気に多くの方に知っていただけるようになりました。この頃から「こんな色があったらいいな」とリクエストをいただくようになったんです。
リクエストに応えながら、アイデアが増えていったのですね。
MaHoMe: そうですね。作家さんからもコメントをいただくことがあり、これまでに、さまざまなジャンルの作家さんとコラボレーションもさせていただいて。
改めて数えてみると、46人もの作家さんと、85種類以上の絵の具を制作させていただきました。(展示のみも含む)
フェイクスイーツ作家・きくみさんとのコラボレーション作品。絵の具から出てくるものを、それぞれの作家さんが想い想いにデザインされるというユニークな内容です。
MaHoMe: どれも自分だと思いつかないものばかりで、完成作品を見るたびに刺激をもらっています。これからも機会があれば、作家さんとのコラボレーションをやっていきたいですね。