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ソフィア・コッポラ監督が描く女性の欲望と性の目覚めとは?

エンタメ

世の中において際限ないものといえば、人間の欲望。誰もがそんな思いを感じたことがあると思いますが、今回ご紹介する作品は、間もなく公開を迎える話題作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』。美しい7人の女性が、1人の男性を巡って繰り広げるスリラーです。そこで、本作を手掛けたこちらの方に、お話を聞いてきました。それは……。

女性から高い支持を得ているソフィア・コッポラ監督!

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【映画、ときどき私】 vol. 144

今回、この作品でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞した監督は、女性としては史上2人目、しかも56年ぶりとなる快挙を成し遂げたことでも注目されています。そんななか、本作に込めた思いや見どころを語ってもらいました。

物語の舞台となるのは、アメリカ南部に隔絶された女子寄宿学園。そこに暮らしていた世代の異なる女性たちの秩序が、負傷した美しい男性を受け入れたことで徐々に乱れていくさまが描かれています。

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まずは、この物語に惹かれた理由は何ですか?

監督 第一印象として、私は7人の世代の違う女性たちが一緒に暮らしている状況がとてもおもしろいと思ったのよ。あとは、南北戦争という時代にも興味を持っていたわ。というのも、どうしても戦争で戦っている男性が描かれがちなんだけど、私は男性たちを見送ったあとに取り残された女性というものを描きたいと思ったの。

洗練された衣装やヘアメイクが印象的ですが、こだわった点は?

監督 いろいろと調べていくなかで、衣装も髪型も当時のものを参考にするようにしたわ。ただ、なかにはとても奇抜なものもあったわね。だから、いまの私たちの目から見て、キレイで魅力的だなと思えるものを歴史のなかから選んで、今回使うことにしたのよ。

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女性として性の自覚が芽生えるのに年齢は関係ないと思いますか?

監督 女性というのは年代によっても、個人個人でも、性の目覚めや男性に対する性的な欲求というのは違うと思っているの。だから、今回私は欲望に関しては、決して恥じるものではなく、自然なものなんだというふうに描きたかったのよ。

特に大人の女性3人は、そういう気持ちを持っていて当たり前の年代にも関わらず、かなり抑圧されていて、男の人も周りにいない状況。だからこそ、より強い気持ちを持っても不思議ではないわよね。

7人のキャラクターすべてを合わせて1人の女性像を表現しているようにも感じますが、意識したことは?

監督 正直言ってそういうふうには考えたことはないけど、同感だわ。やっぱり女性というのは複雑だし、彼女たちひとりひとりが女性の違う面を象徴しているということなのかもしれないわね。

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今回は女性の視点を大切されたようですが、ご自分の経験なども投影していますか?

監督 脚本を書いているときに自分の知っている女性のことを思い浮かべたり、女性の集団においてのコミュニケーションの取り方だったり、そして自分に起きたことや見聞きしたことは反映したわ。なぜなら、自分自身の経験というのは、いつも自分の脚本のなかに入れているからなのよ。

女性を描くことを得意とされていますが、その際に心がけていることは?

監督 特に何というわけではないけれど、私は自分自身も共感できる女性を描きたいと思ってるだけなのよ。決して一面的ではなく、他の女性にも共感してもらえて、さらにちゃんとリスペクトを持ってもらえる女性を描きたいということは言えるわね。

ただ、女性というのは、自分自身でも分析できないミステリスな存在。だから、あとから自分の作品を観返したときに、こういうところに共通点があったのかとか、ここに惹かれていたのかなと気が付くこともあるのよ。

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監督は女性クリエイターたちの憧れの存在ですが、女性に向けてアドバイスはありますか?

監督 映画監督とか、映画業界ということにこだわらず、どんな目的を持った女性にも言えることだと思うのだけど、とにかく自分の信じた道を突き進むこと。そして、諦めずに、何を言われてもへこまない忍耐力を持つということね。だから、意志の強さも必要だと思うわ。とにかく、どんなことを言われてもどんどん前に進む力というのを持って欲しいわね。

映画界では成功している女性監督のひとりですが、これまでハンデを感じたことは?

監督 正直言って、女性であることがプラスになったことはあまりなかったから、チャレンジすべきことはたくさんあったわ。だけど、そればっかりに囚われていても意味がないので、そういうことはあまり気にせずに、自分の仕事や自分の作りたい映画を作ることだけを考えるようにしているのよ。

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今回はスリラーへ初めての挑戦となりましたが、難しさを感じた部分はありましたか?

監督 まず、スリラーには緊迫感が不可欠なんだけど、そういうテンションをどういうふうに出すかということがひとつの大きな課題だったの。実際に脚本を書いている最中も、このジャンルのなかで、ソフィア・コッポラらしさをどう出せばいいかということをすごく入念に考えていたわ。

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