では、それをいま映画にしたいと思った理由は?
監督 2013年まで繰り返し再演されましたが、そろそろ一度やめようと考えていました。そしたら、その翌年に本作の制作会社の社長と偶然出会ったんです。そのとき私は39歳で、人生の計画もなく、何をやればいいのかと悩んでいましたが、そこで「すべては縁である」ということと、「そろそろ新しいチャレンジをしたほうがいいんじゃない?」という神様のお告げみたいなものを感じたんです。
じゃあ、そこで何ができるかと言ったら、やっぱり自分が一番よく知っている脚本をもとに映画を作ることであり、監督に挑戦することでした。とはいえ、私はすごくラッキーだったと思いますよ。
初監督でプレッシャーを感じたところもあると思いますが、苦労したことは何ですか?
監督 体力的な消耗もすごかったですが、私は情熱があったので疲れはあまり感じていませんでした。それよりも、私は監督としては新人なので、自分よりも経験もキャリアもあるスタッフたちに、求めていることを理解してもらうほうが大変なこと。だから、私は現場のみなさんに対して、自分が監督だからとか、女性だからとか、そういうことで特別に扱う必要はまったくないと伝えました。
その気持ちをわかってもらうために、具体的に行動したことはありますか?
監督 まず、普段はわりと着飾ったりしていますが、今回の現場に行くときはネイルやアクセサリーは一切つけず、清潔な恰好をして、まじめな姿勢で映画に挑む姿を見せるようにしたんです。周りの人たちは意外と見ているので、こういう細かいところこそ大事だったと思います。
あと、現場では監督と役者にだけイスが用意されているのですが、「私は座らないのでいらない」と伝え、監督の特権を振るうのではなく、映画を楽しむためにここにいるんだというのを態度で示しました。初日は誰もが私のことを疑うような目で見ていましたが、撮影が進んでいくうちに、その思いをみなさんが理解してくれていたようです。
最後に、将来に対する不安を抱え、仕事にも恋愛にも悩んでいる読者に向けてアドバイスをお願いします!
監督 30歳というのは、人生におけるボトルネックみたいなものですが、これは誰もが直面することであり、大した問題じゃないんだと思うんです。だって、30歳過ぎた周りの人たちを見てください。みんな何でもないですよね(笑)?
だから、私はいつもこう例えるんですけど、「たまたま、にわか雨が降っているだけだと思えばいい」と。というのも、雨が去ったあとには必ず晴れがやってくるわけですから。それよりも、そのままの自分を維持すること、そして信じることが大事だと思います。
もちろん、悩んだりとても大変なときかもしれませんけど、雨を止めることはできません。だから、大切なのはこの雨をどう待つかであって、「雨のあとは必ず晴れる」というふうに考えたほうが楽だと思いますよ!
年齢よりも大事なものを見つけられる!
周りからのプレッシャーに縛られがちな環境にいたとしても、自分の考え方ひとつで、目の前に広がる景色は大きく変わってくるもの。本当の問題は、30歳になることではなくて、年齢にこだわるあまり自分らしさを失っていることだと気づかされるはず。進むべき道がが見えなくなっているのなら、同世代の女性たちと一緒に、新たな人生の扉を開いてみては?
共感が止まらない予告編はこちら!
作品情報
『29歳問題』
5月19日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
配給:ザジフィルムズ/ポリゴンマジック
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