六本木の国立新美術館で『ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか』がはじまりました。ルーヴルの傑作が集まるこの展覧会では、俳優の高橋一生さんが音声ガイドを担当。甘く優しい声でアートを解説してくれます!
どんな展覧会?
【女子的アートナビ】vol. 111
『ルーヴル美術館展 肖像芸術―人は人をどう表現してきたか』では、フランスのルーヴル美術館が所蔵する肖像画や彫刻コレクションのなかから選び抜かれた作品を一堂に紹介。肖像芸術がはたしてきた役割や、それを手がけた芸術家たちの制作手法などにも迫る展覧会です。
会場には3000年以上も前の古代メソポタミアの彫像から19世紀ヨーロッパ絵画までの約110点が集結。古代美術や絵画、彫刻、美術工芸品、素描・版画などルーヴル美術館の全8部門を代表する肖像芸術の傑作をたっぷり堪能できます。
音声ガイドナビゲーターは高橋一生さん!
この展覧会のオフィシャルサポーターは俳優の高橋一生さん。音声ガイドのナビゲーターも担当されています。最近の展覧会では、ステキな俳優さんや声優さんが音声ガイドを担当されていますが、この『ルーヴル美術館展』では高橋さんの甘い声を聴きながらアートを堪能できるのです! 幸せすぎ~♡
ということで、今回の取材では高橋さんの音声ガイドと一緒に会場を回ってみます。まずは入り口でガイド機を借り、使い方を確認。
リストも渡されます。収録時間は約35分。もちろん何度も繰り返し再生できるので、高橋さんの声を聴き続けたい人は好きなだけ再生可能♡ 両耳に高橋さんの声が伝わり、私だけのために話してくれている……と妄想できます。
妄想デート、スタート!
それでは、会場に入っていきます。ガイド番号1番を再生。薄暗い展示室で妄想デートの始まりです。
最初の部屋では古代エジプトのマスクが紹介されています。展示されている《女性の肖像》はエジプトで出土したもの。ローマ帝国の支配下にあった1~3世紀ころ、エジプトではミイラの頭部を飾るため板絵の肖像画が制作されていました。これらは故人の顔だちに似せて描かれていたそうです。
第2章「権力の顔」の展示室では、彫刻作品《トガをまとったティベリウス帝の彫像》が紹介されています。ローマ帝国2代目皇帝ティベリウスが演説のポーズをとっているところを表した大理石彫刻で、高さは2メートル30センチ。見ごたえ抜群です。
ナポレオン登場!
第2章では同展ハイライトのひとつ、ナポレオンの関連作品も紹介されています。特に注目したいのは、アントワーヌ=ジャン・グロの《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》。オーストリア軍との戦いで軍隊を率いる若きナポレオンの雄姿を描いた作品です。
凛々しい姿で後ろを振り返るナポレオンの肖像画は、教科書などで一度は見たことがあると思います。作者のグロはこの絵を描いた当時まだ25歳で無名だったとのこと。ナポレオンの妻、ジョゼフィーヌの仲介によりグロは肖像画を描くチャンスを得て、この作品を本人の前で描いたそうです。エネルギーにあふれた肖像画をナポレオンは大変気に入り、この絵は画家の出世作となりました。ちなみに、本作は習作で、最終作はヴェルサイユ宮殿美術館に所蔵されています。
ヴェロネーゼとレンブラント作品は必見&必聴!
そして、第3章では展覧会のメインヴィジュアル、《美しきナーニ》が紹介されています。作者は16世紀後半のヴェネツィアで活躍した巨匠ヴェロネーゼ。
女性のツヤ肌や豪華なアクセサリー、光沢のある青いビロードのドレスなど、どのパーツを見てもため息が出るほどの美しさ。絵のモデルは高級娼婦か貴族の女性、あるいは理想的な女性像などいろいろ議論されているそうです。この作品はルネサンス期肖像画の最高傑作のひとつといわれていますので、ぜひゆっくり細部まで鑑賞してみてください。
ヴェロネーゼのあとは17世紀オランダの巨匠、レンブラントの作品《ヴィーナスとキューピッド》が登場します。本作は神話画のように見えますが、ヴィーナスのモデルは画家の内縁の妻。キューピッドも娘がモデルと考えられているそうで、肖像芸術として展示されています。
音声ガイドの17番では、このレンブラント作品について高橋さんが解説されています。お聴きになる人は特に冒頭部分を要チェック。高橋さんが聞き手にちょっとだけ話しかけてくれるので、妄想テンションが上がります!