驚くような繊細さをもつ革のアクセサリーに出会いました。手作業で革小物を制作している「YUSHI SOSHIRODA」の、水引をモチーフにした「SAYA」シリーズです。日本の奥ゆかしさを感じさせながらも、新鮮な印象の美しいピアスやブローチなどに、あなたもきっと引き寄せられます。
素朴でありながらも洗練された存在感のある革小物
革小物のブランド「YUSHI SOSHIRODA」。もとはインテリアデザイナーだった十代田 雄史さんが、素材の特性や魅力をそのまま表現することを心がけてデザインし、一つひとつ手作りしています。そのキーホルダーやアクセサリーは、シンプルで素朴さがありながらも、どこか洗練された雰囲気を持ち合わせたものばかり。
ブランドがスタートした場所は、十代田さんが革について学んでいたドイツ。友人に動物の形を模したキーホルダーを作ってプレゼントしたことがきっかけとなり、オリジナルの革小物の制作と販売を始めたそう。
ドイツから帰国して以降、日本の文化や伝統から着想を得た作品も制作するように。私が一目見て心惹かれたのがそのうちのひとつ、細い革紐を編んで形にした「SAYA」シリーズです。水引をモチーフにした作品は、革紐でできているということに驚かされるほど、繊細で凛とした美しさ。ちなみにシリーズ名のSAYAは、薄くて軽い織物を指す漢字「紗」のイメージから来ているそう。その織物と同じく、涼しげでしなやかな印象をもつアクセサリーとなっています。
軽やかで女性らしい印象のブローチやピアス
革の自然な色に、山吹や深緑などの鮮やかな一色が加わった印象的なブローチやピアス。花を連想させる形は、「相生(あいおい)結び」や「あわじ結び」と呼ばれる水引の結びを応用して作られています。ごく細い革紐を編み込んだ軽やかなアクセサリーは、しなやかで品があり、女性らしい雰囲気。
左側の写真の上はブローチで、下がピアスです。ピアスには、ブローチと同じぐらいの大きなサイズのもの(写真右)もあります。この大きなピアスは、着け心地を軽く仕上げるために、ブローチよりも1本少ない4本の革紐で編むという配慮がなされています。見た目の美しさだけではなく、実用性も考えて作られているのです。
セットやおそろいも楽しめるピアスやブレスレットなど
こちらも同じSAYAシリーズ。ピアスは水引の「梅結び」を応用し、色が異なる2本の細い革紐を編み込んだ丸みのある形。緩やかな編み目が美しいブレスレットとセットで着けるのもおすすめです。また蝶ネクタイやカフスもあるので、男性とさりげなくおそろいにすることもできますよ。
細い革紐は実際の水引に比べてハリやコシがなく、編むのが難しいのだそう。それでもピアスやブレスレット、それぞれに異なる太さの革紐を選び、一つひとつが最も美しく見えるバランスを考慮して丁寧に作られています。
ほかにも、日本の美しさを感じられるアクセサリーが
ほかにも、日本らしさが随所に垣間見えるアクセサリーがあります。
写真左は、京都の職人さんに作ってもらった特別な組紐を使い、日本の季節の移ろいを8種類の模様で表現したブローチやピアス・イヤリング「KUMIHIMO」。例えば、月をイメージした黄色、雲の白、夜空の紺の3色で「十五夜」のように風情ある景色を表しています。
写真右の鮮やかな藍色や茜色が目を引くのは、ノンホールピアス「◯ to ◯ ーJAPAN BLUE & REDー」。日本の伝統的な染めを施した麻糸を革に巻いたものです。
SAYAシリーズ含め、どれも新鮮な印象でありながら、日本古来から伝わるモチーフや素材、伝統の技術を用いて作ったもの。アクセサリーを通して、日本文化の奥ゆかしさや美しさを再認識することができます。
さまざまな作品の中にお気に入りを見つけて
ご紹介した作品は、各地のセレクトショップなどで販売されているので、詳細は公式ホームページでご確認ください。最もたくさんの作品が揃うのはイベント出展時とのことなので、予定をSNSでチェックし、お近くで開催される場合はぜひ足を運んてみてはいかがでしょう。10月13日(土)・14日(日)には、千葉で行われる野外展覧会「工房からの風」にも参加されるそうです。
革や組紐など、その素材だからこそできる表現や形を常に模索し、国籍や性別、年齢に関係なく身につけられるようなものを作り続けたいという十代田さん。日本らしさが感じられるものや、革などの質感を活かしたさまざまな作品の中に、あなたもきっと心惹かれるものが見つかりますよ。
photo / YUSHI SOSHIRODA
YUSHI SOSHIRODA