コスメ好きなら誰しもが気になる名品がある。新しくコスメを買おうというタイミングで、多くの人の脳裏にひらめき、候補に上がり、そして購入を決意するような、そんな名品。この連載では「指名買いコスメ」の高い支持や人気の理由を裏付けるコスメ誕生秘話をブランドPRや開発者、ディレクターにインタビュー。開発の裏話や、さらなる魅力に迫ります。
名品コスメが作られた裏側を探る連載「コスメ誕生秘話」。
第5回の今回はディエム クルールを代表するアイテムのひとつである「カラーブレンドパウダーコンシーラー」です。
SNSでも度々注目を集め、時にはメーカー欠品になることもあるほどの人気商品が、2021年8月にリニューアル。斬新なアイデアのアイテムが生まれた背景やリニューアルの理由について、株式会社ポーラ・ブランドクリエイティブ部メーク開発チームの石崎さんにお話を伺いました。
今回の名品コスメ
カラーブレンドパウダーコンシーラー
(ディエム クルール)
点描画の効果と色彩調和の効果に着目したカラー設計で、肌トラブルまでも美しい肌の一部としてカモフラージュするパウダー状のコンシーラー。
“肌色で隠ぺい”するのではなく、“さまざまな色でカモフラージュ”する
――今ではディエム クルールを代表するアイテムである「カラーブレンドパウダーコンシーラー」ですが、パウダー状のコンシーラーってとても斬新ですよね。まず、この商品が生まれた背景を教えてください。
ディエム クルールは「きれいな素肌は実はカラフルであった」という研究員の発見と、「ベースメイクで肌のアラを隠していると気分が沈んでしまう」という、あるお客様の声から生まれたブランドです。3月にリニューアルした“虹色ファンデーション”「カラーブレンドファンデーション」をはじめとして、“肌色で肌を覆い隠す”のではなく、絵画の点描画などに着想を得た“色の効果”で素肌を活かして美しく見せるアイテムを展開しています。
今回のコンシーラーに関してもその考えに基づいた設計になっています。通常のコンシーラーは“肌色で隠ぺい”してシミやクマを隠す手法ですが、ディエム クルールのコンシーラーは“さまざまな色でカモフラージュ”して、肌トラブルを目立たなくさせるという考え方で設計されています。隠ぺいするのではなくカモフラージュするので、素肌の透明感や自然さを活かせるアイテムなんです。
パウダーのコンシーラーというのはとても珍しいアイテムですが、色の効果を最大限活かすためにパウダー剤型になっています。色の効果を活かすという点もそうですが、ブラシやチップでサッと仕上げることができるという点も、テクニックや手間いらずで済むというのも特長かと思います。
――通常のコンシーラーは練りやリキッドがほとんど。「パウダーのコンシーラーで本当にカバーできるの?」と思っていましたが、実際に使ってみて本当にきれいにクマや赤みが隠れて驚きました。
「これで隠せるの?」というお声はよくいただきます(笑)。カラフルなマーブル状の粉を混ぜるとちゃんと肌色になって、しかも肌トラブルをしっかり隠せるという“驚き感”もお客さまから評価いただいているポイントかと思います。
一般ユーザーからも注目されるほどの技術力
――可愛らしい見た目に確かな実力でSNSなどを通じて話題になっていましたよね。ユーザーからの反響を教えてください!
見た目のキャッチーさや不思議さだけでなく、機能性と手軽さ、このカラフルが肌にきれいになじむ驚きを評価いただくことが多いですね。また、実際に使ってみた写真をシェアしてくださるユーザーも多いです。楽しみながら使っていただいていることが分かる声が多く寄せられていてうれしく思っています。
他にも、絵画の技法に基づいて生まれた技術に注目してくださる方が多いのも特徴的です。今までPOLAの製品を使ったことがない方でも、「#虹色コンシーラー」「#渦巻コンシーラー」といった愛称で話題にしていただいておりました。
今年社内でニュースになったのは、ZOZOCOSMEのサービスが始まった時に、総合ランキングで1位になったことです。社内みんなで大喜びでした。
リニューアルについてお知らせした際も幅広いコメントをいただいております。是非、新製品にご期待いただきたいです。
クマ悩みへのニーズに応えるため、「白」を追加
――人気アイテムの「虹色コンシーラー」ですが、今回リニューアルに至った背景を教えてください。
ユーザーへのヒアリングから、近年はクマに悩んでいる人が多いということがわかり、クマをきちんとカモフラージュできることへのニーズが増えていたんです。ターゲットの皆さんがデジタルネイティブ世代でデジタルデバイスを使う時間が長いということと、近年はコロナ禍でマスクをして外出をすることが当たり前になってきたときに、目の影が気になるという声もみられます。オンライン会議で画面を通すと肌のノイズが気になるようになってしまった……ということもありますよね。
そんなクマ悩みが浮き彫りになってきたところで、よりターゲットの皆さんのニーズにお応えするために「白」を入れることにしました。
白を入れることで、目の下に塗った時に自然にハイライトが入ったような発光感がプラスされます。そこが今回のパワーアップポイントですね。
※画像提供:POLA
――たしかに、使った時にクマがこんなにきれいに隠れるコンシーラーは見たことが無い! と感動しました。クマのカバーといえば「青クマにはオレンジ」「茶クマにはイエロー」など、悩みに合わせて色を使い分けるテクニックがよく言われますが、ディエム クルールのコンシーラーは青クマでも茶クマでも1個で対応できるのが良いですね。
まさにそこもパワーアップポイントでして、従来品はクマのタイプに合わせてパレット内の色の使い分けを提案していましたが、今回のリニューアルでカバー力も高まったんです。クマの種類にかかわらず、基本の使い方で網羅できる形になっています。よりテクニック要らずで使えるようになったのではないかと思っています。
――他に変わったポイントはありますか?
もう1点、フィット感が高まっています。今回新配合した“ベルベットフィットパウダー”によって、よりなめらかにフィットするので、ヨレや粉落ちが改善され、肌になじむ設計になりました。
今はマスクを着用することでベースメイクのくずれが気になる方も多いと思いますが、そちらのお悩みにも対応できるようになったかと思います。
――粉を目元につけるとなると乾燥も気になりますが、リニューアルアイテムを使ってみて粉っぽくならず、驚きました。
はい。今後もカラーコレクションのタイミングで限定色や新色を発売する予定なので、ぜひ楽しみにしていただければ幸いです。
――今後も季節やトレンドに合わせた限定色や新色が登場しそうですね。
クマ悩みにお応えしたいと考えた時、同時に目の周りの乾燥にも対応できるようにしようと意識して設計しました。保湿成分を配合しているので、つけながら肌をいたわることもできるようになっています。
逆にテカリが気になる部分は、パウダー剤形であるため皮脂を吸着してサラサラ感を持続できるかと思います。また、ちょっと細かい話をすると新配合したパウダーは金箔のように薄い粉になっているんです。ですので、より肌へのフィット感・崩れにくさが叶えられていると思います。