今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
未来の注視×リスクの監視
今週のさそり座は、決定的なところで騙されないように、きちんと防衛線を張っていこうとするような星回り。
アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムによる有名な「隷属行動の研究」実験では、人びとは「命令に従うことが社会をより良くするために自分が果たすべき責任である」と信じた場合、どんなに残酷な命令であったとしても、良心の呵責をまったく感ずることなくそれに従うことができる、ということが示されました。
特に、日本人や日本社会は権威的な指導者による命令に弱いところがありますから、例えば「罪のない人たちは殺されるべきではないし、殺されてもいいという言動には断固反対する」といった、越えてはならない一線というものを引いておくことが大切。また、ナチスや戦中の日本軍などを例に、「権力者やリーダーはどのように嘘をでっち上げるか」などについてのある程度の知識を得ておくことも必要でしょう。
人間の本性には「共感」や「道徳性」、「自己制御」「問題解決志向」などの側面だけでなく「復讐」や「攻撃性」などのネガティブな側面もあり、それらは「恐怖」や「被害妄想」「妄信」などの危険性に陥る傾向があります。社会が混迷を極めていく時期だからこそ、それらを回避するために民衆をおとしいれる「陥穽(おとしあな)」をきちんと見抜くだけの批判力と知識が一層求められていくのでは。あなたもまた、そうしたある種の「社会的知性」の発揮に注意を向けていきやすいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
足腰を鍛える、的な
今週のいて座は、なんのひねりもない一手に、あえておのれを賭けていくような星回り。
「夕暮も曙もなし鶏頭花」の作者・太田巴静は、江戸中期の俳人。江戸から明治にかけての俳句には、題材を余計な観念を交えず、ただ素朴にあっけらかんと描いてみせたものが多いのですが、掲句はその典型の一つと言えるでしょう。
ニワトリのトサカに似た赤い花を地面から直立させて咲かせる「鶏頭(けいとう)」の花は、夕暮れ、すなわち日が暮れようが、曙、すなわち夜が明けようが、関係なし。ただひたすらにそこに立っているだけだと言うのです。あまりにストレートな表現ですが、そうした素朴な描写が、かえって天に突き上げたひとつの拳や、そこに宿った情熱のような鶏頭の姿を想像させてくれているように思います。
その意味で、下手に技巧や理論武装に走るのではなく、素朴に、けれどきちんと時間をかけて丁寧に、自分が感じていることを言語化していくことの大切さを、掲句はさりげなく現代の私たちに教えてくれているのではないでしょうか。あなたもまた、然るべき事柄や対象に持ち前の「率直さ」を向けていくことがテーマとなっていきそうです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
物語化を手伝うこと
今週のやぎ座は、真に水平的な関係性を築いていこうとするような星回り。
生物学者の福岡伸一は、ウィルスが人間にもたらす「水平性」について度々言及しています。いわく、「長い進化の過程で、遺伝する情報は親から子へ垂直方向にしか伝わらないが、ウイルスは遺伝子を水平に運ぶという有用性があるからこそ、今も存在している。その中のごく一部が病気をもたらす訳で、長い目で見ると、人間に免疫を与えてきました。ウイルスとは共に進化し合う関係にあるのです。」(毎日新聞、2020年6月15日付け)
そもそも、ウイルスの歴史というのは意外と新しく、「高等生物が登場したあと、はじめてウイルスは現れた」のであり、それも「高等生物の遺伝子の一部が、外部に飛び出したものとして、つまり、ウイルスはもともと私たちのものだった。それが家出し、また、どこかから流れてきた家出人を宿主は優しく迎え入れている」に過ぎないと言うのです。
なぜそんなことをするのかと言うと、それは「ウイルスこそが進化を加速してくれるから」であり、こうして「遺伝子情報の水平移動は生命系全体の利他的なツールとして、情報の交換と包摂に役立っていった」のだと。あなたもまた、これまでにあまり取り組んだことのない「他者との関わり方」と真剣に向き合っていくことになるかも知れません。