「自分らしさ」というキーワードをあちらこちらで見かけます。個性や多様性を尊重する動きが広がる今、自分らしく生きる素晴らしさを伝える本やネット記事も多く目にします。でもこの「自分らしさ」というキーワード、40代女性にとって必ずしも心地の良いものではないようです。今回は、40代女性が自分らしさを発揮することについて考えてみました。
「自由」は得意ですか?
例えばヨガクラスのような場面で「自由に動いていいですよ」と言われたら、あなたはそれを嬉しいと感じるタイプですか?それとも、どう動いたらよいのか悩んだり不安になるタイプですか?私はヨガの講師ですが、クラスで指導をしている中でこのような場面での心の動きには人によって大きな差があるのだと感じています。
一概に年齢によって決めつけることは出来ませんが、どうやら昭和生まれ世代、輪を乱さないことが大事で価値観も今ほど多様化していなかった時代に育った世代にとって、「自由にすること」はハードルが高い場合も多いようです。正解がない、お手本がないという状況は、正解や目標を提示されて育った人たちには戸惑いがあるようなのです。また、人と同じであることに安心を感じる人が多く、人と違うことに不安を覚えるといった特徴も。幼少期や学生時代を規律や協調性を重んじる中で過ごしてきたのだから、「自由でいること」に居心地の悪さを感じるのも当然のことかも知れません。
「自分らしさ」に戸惑う人たち
そんな自由が苦手なタイプの人たちには、「自分らしく生きる」方法がなかなか分からなかったりします。これも決めつけてはいけませんが、一般的に真面目でしっかりしているタイプの人が多いように思います。成長過程で、親や学校といった社会が提示する道を従順に歩んできた人たちです。
そういった人たちにとって「自分らしく生きよう!」という風潮は居心地が悪いし、過酷に感じてしまうこともあるでしょう。「自分らしく生きなきゃ」と自分探しに躍起になったり、自分にしか出来ないことは何なのかと頭を悩ませてしまうかも知れません。心の奥底では「個性を発揮したい」「人の真似をせずに自分らしく生きたい」と願っていても、それに慣れていないし方法が分からない。実際にヨガクラスでたびたび話題になりますし、個別にご相談を受けることもあります。
そもそも「自分らしさ」って何?
そもそも、「自分らしく生きる」というのはどういうことなのでしょう?「自分らしく」と聞くとついつい、「自分にしか出来ない仕事をする」とか「人には真似できないオリジナルな生き方をする」などと、特別な生き方を思い浮かべてしまうかも知れません。それに比べて今の自分は平凡でつまらない、とプレッシャーや焦りを感じてしまうこともあるでしょう。
ヨガの考え方(ヨガ哲学)では、人間はその人にしか果たすことのできない役割を与えられて生まれてくると考えられています。そしてその役割を果たすことが、自分の人生を全うすることなのだと教えます。
私はこの役割こそが「自分らしさ」とイコールなのではないかと考えています。その役割はどこかに探しにいくものではなく、いま目の前にある課題と丁寧に向うことで明確に見えてくるものです。
大人になってからどうやって自分らしさを発揮したらよいのか
「自分らしさ」を発揮させるポイントが一つあるとすれば、それは違和感を大事にすることです。自分らしいこと・自分が果たすべき役割は、たとえそれが明確に認識出来ていなくても、自分が一番知っているものです。反対に違和感は「それは違う」といったサインで、他人の役割を取ってしまっていたり、本当は望んでいないことをしてしまっている時に感じるものです。
自分らしく生きることにハードルを感じてしまう場合は、まずはハードルを下げましょう。誰でも今すでに十分「自分らしい」はずだし、自分にしか出来ない役割を果たしているはずなのです。自分らしさはもう手元にあります。もう少しそれを精査したり、磨き上げる作業が必要なだけなのではないでしょうか。