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美術館に便器が…! アートの歴史を変えた男の展覧会

上野の東京国立博物館で『マルセル・デュシャンと日本美術』展が開かれています。便器をアートだといったり、女装して活動したりと異色のアーティストとして知られるマルセル・デュシャン(1887-1968)。20世紀美術に大きな影響を与えた彼の楽しい作品をご紹介します!

トーハクにデュシャンが来た!

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【女子的アートナビ】vol. 130

展覧会の会場は、東京国立博物館(トーハク)。日本と東洋美術の名品が並ぶこの場所で、なぜデュシャンの展覧会? と不思議に思いますが、同展の長~い正式タイトルにヒントがありました。

東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展『マルセル・デュシャンと日本美術』

トーハクの解説によると、過去に何度かフィラデルフィア美術館で開かれた日本美術展に協力をしたことがあり、そのご縁で今回の企画が実現したとのこと。

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アメリカ東海岸にあるフィラデルフィア美術館は、西洋の近代美術やアジア美術、そして20世紀美術など約24万点もの作品を収蔵。なかでもデュシャン・コレクションは世界随一ともいわれ、絵画や版画など200件以上、写真や直筆メモなどの関連資料を42,500件以上も所蔵しています。

そして今年2018年は、デュシャン没後50年という節目の年。フィラデルフィア美術館のコレクションをもとに日本と韓国、オーストラリアの3カ国をめぐる国際展覧会を開くこととなり、その会場としてトーハクが選ばれたそうです。

デュシャンと日本美術がコラボ

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3か国を巡回する国際展覧会ですが、トーハクで行われる『マルセル・デュシャンと日本美術』では、デュシャンだけでなく日本美術もあわせて楽しめる2部構成の企画展になっています。

第1部では、デュシャンの作品と彼のユニークな人生を紹介。さらに、第2部では江戸時代を中心に、鎌倉から明治までの日本美術を展示しています。

デュシャンは画家だった

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それでは、会場に入ってみます。まず第1章では「画家としてのデュシャン」と題して、1902年から1912年までの絵画作品が展示されています。

フランスで生まれたデュシャンは15歳のときにはじめて油彩画を制作。その後、印象主義や象徴主義、フォービスム、キュビスムなど、当時フランスで起こっていたさまざまな芸術運動から影響を受けた作品を描いています。

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展示室には貴重な絵画が並んでいますが、特に見逃せないのが《階段を降りる裸体 No. 2》。階段を降りていく人の動きを表現した連続写真のような油彩画です。この作品は、発表当時さまざまな理由で問題作とされていましたが、いまではキュビスムの重要作品として美術史の教科書にも載っています。

便器がアートに…!

つづく第2章では1912年から1917年までの作品や活動を紹介。ここで、アートの歴史を変えた超有名な便器の作品《泉》を見ることができます!

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《泉》は、既製品の磁器製男性用小便器にR.Mutt (リチャード・マット)という偽名のサインを入れただけの作品。デュシャンは当時これを芸術作品として展覧会に出そうとしましたが、「不道徳で創意がない」などの理由で拒否されてしまいました。

20世紀初頭、日本ではまだ大正時代の1917年に便器をアートだ、としてしまったのですから、かなりセンセーショナルな出来事だったんでしょうね。

デュシャンは便器だけでなく、自転車の車輪や雪かきシャベルなども芸術作品として提示。大量生産されている日用品から実用性を取り去ってつくりあげた作品を彼は「レディメイド」(既製品)と名づけ、伝統的な美術の価値観を壊していきました。

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それにしても、なぜ便器を選んだのか、この便器は使用したものなのか、などいろいろ気になります。展覧会の第1部出版物(上 写真、税込み¥3,000)で調べてみたところ、デュシャンは見た目の美しさや機能などで便器を選んだのではない、とのこと。そもそも、製品を選ぶ行為自体も重要な制作過程の一部なので、その選定方法をひとことでは説明できないようです。

ちなみに、展示されている便器はレプリカで、1917年に制作されたオリジナル作品はデュシャンが製造元のショールームで購入したそうです。使用済みのものではありませんでした。

1920年代に入ると、デュシャンはいったん芸術家をやめてチェスにのめりこみ、さらに女装をして別人格になりきりダジャレなど言葉の実験を試みるなど、さまざまな活動をします。

その後ふたたび芸術活動にかかわり、1968年に81歳で亡くなりました。本会場では、晩年の作品や彼の写真なども含め、約150点もの作品や資料を見ることができます。

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