見た途端、つい目を奪われて、“ジャケ買い”をしてしまいそうな見た目やパッケージの商品をご紹介するこの連載。第44回目は、どこか懐かしい味わいと珍しい食感が味わえるスイーツです。
バターを作るときに出る副産物「無脂肪乳」を活用したスイーツ
「バターのいとこ」というユニークなネーミングのお店とスイーツの正体は、無脂肪乳で作ったミルクジャムをゴーフレットで挟んだお菓子。
ふわっとした生地なのに、一口食べるとサクっと軽やか。黄金色の生地のなかには、とろ~りとしたミルク味のジャムがたっぷり。コクのある甘味のミルクジャムは、大人から子どもまで愛される味です。
商品名は、材料に使われている無脂肪乳が由来となっています。
実は菓子作りに欠かせないバターは、牛乳から約4%しか採ることができず、製造にも手間がかかります。そしてバターを作った後の牛乳は、90%以上が無脂肪乳になり、脱脂粉乳として安価に販売されています。
牛乳からバターと無脂肪乳ができて、その無脂肪乳からお菓子ができるという関係がいとこ関係を連想させるので、この商品名になったそうです。
バターのいとこの無脂肪乳は、那須にある森林ノ牧場によるもの。この牧場では毛並みの良いジャージー牛が放牧されています。日本で飼育されている乳牛のほとんどが白黒斑紋のホルスタイン種なので、ジャージー牛は貴重と言えます。
森林ノ牧場がバターを作る過程で余ってしまった無脂肪乳の価値を高めるために作ったのが、バターのいとこです。ジャージー牛の甘みのある生乳を原料とする無脂肪乳は、スイーツにもぴったりでバターが香るゴーフレットとも相性抜群。
バターのいとこは、最初は姉妹店の『チャウス』の店先で製造と販売をしていました。その後すぐに人気商品となり、品薄が続いたこともあり、生産数を増やすために工場を作ることになりました。
その時に、通常の採用以外にも障がい者雇用も始めました。バターのいとこなどを手掛ける株式会社チャウス代表の宮本さんが「色々な人が働きやすい場所が必要」と思ったからだそうです。いまではバターのいとこ作りを多くの障がいを持つスタッフが支えています。
地域の人とつながり、みんなが持続的に課題に向き合える事業は、SDGs(持続可能な開発目標)やサステナブルな取り組みとしても注目されています。
ミルクのコクがドリンクにも影響
ゴーフレットの生地とミルクジャムは甘さとコクがあるので、珈琲や紅茶というような少し渋みがある飲み物とあわせると食べやすいです。甘すぎるのが苦手な人は、珈琲や紅茶をストレートで飲むとちょうどよいかもしれません。
中のミルクジャムをより味わうために最初に真ん中で割って、クリームが出てきた状態で飲み物と合わせて食べるのもお薦めです。
バターのいとこをお取り寄せしたいときは、オンラインサイト「ごいちの未来いちば」から「バターのいとこ詰め合わせ」を購入します(2022年4月現在)。
2種類の詰め合わせがありますが、詰め合わせAにはミルク味とチョコ味が、詰め合わせBにはミルク味とあんバター味が入っています。
詰め合わせの中には、ゴーフレット生地を成形するときにできる端っこを焼き上げたラスクや、有機オートミールとドライフルーツをたっぷり使ったグラノーラも入っています。
バターのいとこを食べることで、酪農家はバターを作りやすくなり、そのクラフトバターで世の食卓がより豊かなものに。そして地域には雇用が生まれ、地域活性化にもつながっていきます。
食べる人も、原料を作る酪農家も、お菓子を作る地域も、すべての人が笑顔になることを目指した那須の新スイーツ、ぜひ味わってみてくださいね。