今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
原風景としての夕焼け
今週のかに座は、受容の促進としての無常観に全身を染めていくような星回り。
『どこまでも秋の夕焼といふのだらう』(古川智子)という句のごとし。
どこまでもどこまでも真っ赤に広がっていく夕焼け空を見ているうちに、記憶のなかのをやはりどこまでも遡り、やがて赤子の鳴き声さえ通りすぎていく。それは言葉で言えば「無常観」ということになるのかも知れません。
あなたもまた、そんな茫然自失の無常観のなかで、受け入れるべきものを受け入れていくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
扉としての絶望
今週のしし座は、より純粋なものへ向かった十代の頃の感情的記憶が、ぶり返してくるような星回り。
岩井俊二監督『リリィ・シュシュのすべて』(2001)は、観る者のあまり思い出したくない思春期の記憶を次々と惹起させるという意味で、あまり冷静に見ることを許さない作品と言えます。
この映画ののっぴきならないリアルさは、監督が記憶の中の学校、その匂いや光を徹底的に描いているがゆえのもの。脱社会化した存在になりきれずに社会に留まってしまった監督自身の自問自答に、観客の側も思いがけず引きずり込まれ、一つの問いへと直面させられていきます。
あなたも大人になるにつれて、いつしか忘れていた「世界」の手触りを不意に思い出していくことになるかも知れません。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
時にはわけわかんない自分でもいい
今週のおとめ座は、自分でも予測不能な動きにそのまま従っていこうとするような星回り。
『山茶花やいくたび訪へば通ふなる』(藤井あかり)という句のごとし。これと決めた山茶花をどれだけ見舞いに尋ねていけば、こちらの気持ちが相手に届くのだろうかと、まるで恋占いでもするかのように問うているのです。
これは花を擬人化しているのではなくて、あくまで花を花として恋慕っている訳で、それは種族の垣根を超えるぞと息まいてそうしていると言うより、ふと気付けば、いつの間にかそうなっていたのでしょう。
あなたもまた、自身に生じた「もののはずみ」に気が付いていくことになるはず。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
無為からの離脱
今週のてんびん座は、自身がすでに参加しているゲームの流れを変えていくための、準備を整えていこうとするような星回り。
太古の昔から、支配する側の技芸として帝王学や天文学があったように、支配される側にも「強者」の打ち建てた秩序のなかで「それでもうまくやっていく」ための技芸は存在してきたし、日常的な実践のなかに、そうとは分からぬよう透かし込まれてきました。
それは住んだり、道を行き来したり、話したり、読んだり、買い物したり、料理をしたり、書いたりするといった、何気ない営みを戦術的な機略や奇襲へと転じることで、詩的でもあると同時に戦闘的でもあるような意気はずむ独創なのです。
あなたもまた、「それでもうまくやっていく」ための手持ちの技芸を改めて確認したり、必要に応じて切り替えたり、新たに編み出したりしていくことがテーマとなっていきそうです。