30代・40代の妊活や不妊治療のお悩み&疑問に医師が回答! 今回は卵子凍結のリアルについて聞きました。
Q:子どもは産みたいけど、パートナーがいない。今できることは?
Orawan Pattarawimonchai/shutterstock
30代&40代女性の「リアルな妊活・不妊治療悩み&疑問」!
・「30代後半、長年付き合った彼と破局。婚活をしながらも妊活でできることを始めたい。別れた彼とは、結婚後すぐに不妊治療を始めることを考えていました。私ひとりでもできることはある?」
・「もうすぐ30歳。婚活をスタートさせるつもりですが、同時に妊活も始めたいと思っています。今の時期だからこそできることって何ですか?」
医師が回答!
【監修】
医療法人オーク会 産婦人科医
船曳美也子先生
神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業
兵庫医科大学、西宮中央市民病院、パルモア病院を経て医療法人オーク会へ。
エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、診療にあたる。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。
【ANSWER】現実的には卵子凍結という選択もアリ
「子どもを産みたいと思ったとき、いちばんネックとなるのは女性の年齢。年齢を重ねることで、卵子の質が下がってしまうのです。
パートナーがいない状態であっても、将来出産したいと考えているなら卵子凍結を行うという選択肢もあります。不妊治療と同じように採卵を行い、卵子を取り出して凍結します。妊娠率を考えると、ベストは20代〜30代前半での採卵。ベストの年齢を過ぎていてもチャレンジする価値はあります。卵子は新しく作られることはなく今の卵子が最も若い卵子ですので、少しでも若いうちに凍結をおこなったほうが、妊娠の確率は上がるのです。
通常の不妊治療では受精卵の凍結を行いますが、パートナーがいない段階では卵子を凍結します。パートナーができた際に卵子を融解し、不妊治療でも使われる顕微授精という方法で受精を行います。
受精卵を凍結する場合、10個採卵を行い、凍結し移植に使えるのは平均3個ほど。卵子凍結の場合は10個凍結をし、融解後に移植に使えるのは平均2個ほどになります。少なく感じるかもしれませんが、若い頃の妊娠率が高く流産率が低い卵子を受精に使えるのは、大きなメリットです。
採卵にかかる費用は不妊治療と同じで、採卵~移植の費用全体を見ると卵子凍結の費用、保存料、卵子融解の費用のみ不妊治療の費用にプラスで発生することになります。凍結卵子の保存にかかる費用はクリニックによりますが、1年間保存で10個10万円ほどのところが多いようです。
受精卵の凍結と違い、卵子凍結は現在はパートナーがいないという方でも行えます。もし将来、婦人系病気等にかかり、排卵が困難になった場合でも、凍結卵子があれば安心。将来妊娠を希望している方は検討してもよいでしょう」
将来妊娠したいと考えている場合、卵子凍結という選択肢も。
取材・文/櫻木えみ