老後のための2,000万円。ひとりひとり全員同じ生活費で生きているわけではない……となると、本当に2,000万円も必要なのでしょうか。今回は資産運用サービスを提供するウェルスナビ株式会社の小松原さんに、あなたの老後に2,000万円必要なのか教えてもらいましょう!
教えてくれたのは……ウェルスナビ株式会社 小松原さん
働く世代が豊かさを実感できる社会をつくりたいという理念に共感し、ウェルスナビにセミナー講師として入社。これまでに、500回以上の資産運用セミナーに登壇し、参加者からの多くの質問にも答えている。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
私の老後は2,000万円必要?
老後2,000万円問題と聞いて「そんな大金…どうやって準備するの?」と思われた方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
この数字は、2019年に金融庁から出された報告書にある試算がもとになっています。
中身を見てみると、夫が65歳で妻が60歳、夫婦ともに無職の場合を前提に「30年後までに家計が毎月約5.5万円赤字の場合、約2,000万円が足りなくなる」とあります。
これはあくまで平均的な年金受給額と、食費や住居費にかかる支出額から算出したものです。実際にどれだけのお金が必要になるかは、家族がいるかどうかや、生活スタイルによって大きく異なります。
では、自分の老後資金はいくら必要なのか。
マイナンバーカードがあれば年金見込み額を「ねんきんネット」で確認できますし、お勤め先で退職金の見込み額を確認するのも大切です。
一方で、転職が当たり前の今。かつてのように「退職金を取り崩して老後を乗り越える」ことは難しい時代になっています。
将来のためにお金を準備するためには、どうしたらいいのか。老後も心配だけど、目の前の生活も大切ですよね。安心な老後に備えるため、まずは少しずつ考えましょう。今回は、三つのステップをご紹介します。
安心な老後に備える3つのステップ
ステップ1「目標を立てる」
目標がないまま貯蓄するのは、実は難しいものです。例えば学生時代は、試験や部活の大会など明確な目標があったからこそ、努力できた方も多いのではないでしょうか。
お金も同じです。目標をもつのが、大事なスタートラインなのです。「このバッグが買いたい」「家族で旅行にいきたい」からでもかまいません。目標を立てると、自然と「貯蓄するにはどうするか」を考えるようになります。
ステップ2「貯金の習慣をつける」
セール品をついつい買ってしまう、買うものを決めずにスーパーに行ってしまう、などの出費が増える習慣を見直すのも一つです。
私からのおすすめは「先取り貯金」です。貯金用の口座を別に作り、残った分でやりくりをする方法です。そして最後のステップで、お金を増やすことについて考えます。
ステップ3「投資を学ぶ」
投資を学ぼうとしても、難しい専門用語もたくさんありますし、どの情報を信用すればいいのかわからない。そういった声はセミナーでもよくお聞きします。
ですので、今回は一つだけ覚えていただければと思います。それは「投資に甘い話はない」ということです。
リスクをあまりとらず、投資したお金がすぐに何倍にもなる、といった「甘い話」はありえません。
一般的に、世界全体の株式に対して投資した場合でも、年間で4~6%くらいが期待できるリターン(投資したお金に対してもうかる比率)と言われています。
これ以上のリターンがある場合は、それに見合ったリスクが必ず存在します。小さなリスクで大きなリターン、はありません。
三つのステップがすべてできなくても大丈夫です。まずは自分の老後にはどのくらいの金額が必要なのかを知り、自分にとっての「2,000万円」を把握しましょう。そして、身近なところから少しずつ、始めて見てはいかがでしょうか。