今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ずーっと全然分からないなぁという感覚
今週のかに座は、自分なりの一生の問いに向きあっていこうとするような星回り。
「老人1人が死ぬことは図書館が1つなくなるのと同じこと」。これはアナン元国連事務総長が演説に引用したアフリカのことわざですが、これがほとんど口伝でその知恵や技術が伝えられてきたマタギ(山人)となれば、その言葉の重みはますます増していくように感じられます。
師がやっていることを見よう見まねでやってみるのがマタギ修行の基本であり、失敗して覚えていくのでなければうまくはならないのだそう。
今週のかに座は、どこにも教科書や決まったカリキュラムなどない“修行”を、改めて体に叩き込んでいきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
もう一つの知
今週のしし座は、多層的な時間の「重ね合わせ」によって、この世界を素描し直していこうとするような星回り。
『たんぽぽや長江濁るとこしなへ』(山口青邨)という句のごとし。とこしなえ(永久)を思わせる長江は、局所的に固められ、解決されたかに見える人生の問題をふたたび解かれるべき謎へと差し戻していくような感覚の比喩とも解釈できるかも知れません。
私たちはきっと、この世界で時間をかけて身を固めてゆくだけでなく、そうして小さくまとまりがちな心や自身の世界を巨視的な文脈へと重ね合わせてゆくことにも時間をかけているはず。
あなたもまた、何もわかっていなかった頃の戸惑いや謎の感覚を深く思い出していくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
生活とストーリーと
今週のおとめ座は、「仕事」という言葉への憎しみから少しだけ解き放たれていこうとするような星回り。
進化生物学者のスティーブン・J・グールドがインタビューに答えた一節を聞いていると、私たちは決して「仕事をしすぎている」のではなく、むしろ「仕事」という固定観念に囚われ過ぎているのかも知れないという疑念が湧いてきます。
私たちが、何もかも「仕事」と呼んでそこにはまりこむことを「中毒(ホリック)」すなわち異常状態と呼ぶのは、それらがどこまでも“押しつけられたもの”でしかなく、みずから選び取り、親しんでいる「生活」にまで至っていないからなのではないでしょうか。
あなたもまた、どんな仕事をしたいかではなく、どんな生活をしたいか、そしてそこにどれだけ、またはどんな類の「仕事」が含まれているか、という仕方で、自身のQOLの向上をはかっていくことがテーマとなっていきそうです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
失われた情緒を求めて
今週のてんびん座は、貴重な活動への解像度をグッと高めていこうとするような星回り。
『田にあれば桜の蕊がみな見ゆる』(永田耕衣)という句のごとし。桜だって受粉をして、生産している。稀にではあるが、実をつけることだってある。それは蕊があればこそなのだ、と。いったんこうした見方が身に沁みてしまった人は、きっともう二度と花びらだけを盲目的に見つめることはできないでしょう。
その意味で、何かを真に発見するということは、世界の見え方が根本から変わってしまうということであり、それ以前の世界を喪うことでもあるのです。
あなたもまた、ひとつの重要な気付きを得る代わりにこれまで親しんできた盲目さを喪っていくはず。