今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
都会にいることと哲学すること
今週のさそり座は、私の背後にある何ものかを考え、話し、表現していこうとするような星回り。
哲学者の山内志朗は、「東京で溺れない哲学」というエッセイのなかで「薄暗い、灰色の空から、雪が音もなく、静かに降り積もるとき、雪は降る。音もなく降る。上から下へと降る」。そうやって「降る雪が哲学していると感じることもあった」のだと綴っています。
都会で溺れないためには、泳ぎ方を覚えなければなりませんが、それは少なくとも山内にとっては、「雪のごときものに埋もれて」いる自分自身を見出し、その背後にある自然のはたらきをはるかな起源へと遡っていくことに他ならなかったのでしょう。
あなたもまた、自分が呑み込まれつつあるものを懸命に呑み込み返すべし
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
のろのろ、うろうろ
今週のいて座は、これからの時代に必要な感性を補っていこうとするような星回り。
『走ること忘れし馬の長閑かな』(増永徂春)という句のごとし。私たちはもっと仕事をサボっていいし、社会人だとかいい大人とか家族内の役割なんかに縛られなくていい。
掲句の馬のように、そうした自分が自分でいることにいちいち意味や価値を見出すことを時に忘れ、ただこの世にこうして在れることを喜べばいい。なぜなら、人間はかならず間違うものであり、完璧にはなりえないから。とすれば、これからの私たちに真に必要となるのは、自身や他者の不完全さや間違いや愚かさを、笑ったり笑われたりすることを楽しんでいけるだけの感性でしょう。
あなたもまた、掲句のような“軽み”を自身に取り入れていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ひたひた気配
今週のやぎ座は、「静かで深いコミットメント」をめぐって試行錯誤していくような星回り。
村上春樹と河合隼雄の対談『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』では、日本社会というのはなかなか「個人」ということを体感としてわかるということは難しい社会なのだという話が取り上げられていました。
実際に自分が精神分析を受けてみて、いかに分析家の仕事というのはコミットメントなくしては進まないのだということが分かったが、外見的にはむしろ中立的で、デタッチしている(関わらないようにしている)かのように見えるのだと。
あなたもまた、頭だけでなく自分の全存在をつかってコミットしていくとはいかなることかをいかに学び、実践していけるかが問われていくでしょう。