高級店や名店がひしめく清水・高台寺エリア。日本料理にイタリアンの技法や食材をアクセントとして取り入れた京懐石の店「祇園にし」もそのひとつです。同店プロデュースのカフェができたのが2022年7月。「さすが!」と称賛される「GION NISHI CAFE」を訪ね、絶品スイーツをいただいてきました。
京懐石料理店によるプロデュースが話題のカフェ「GION NISHI CAFE」
東山安井の交差点を東へと坂道を上ると、法観寺八坂の塔から八坂神社へと続く下河原通にぶつかります。「GION NISHI CAFE」があるのは坂道を上り切る少し手前。「祇園にし」の2階です。
外観からはカフェらしさが伝わりにくいですが、2階に上がってみると自然光がたっぷりと差し込む、気持ちの良い空間が広がっています。
華美すぎないシンプルで上品なインテリアの中、一際目を引くのがオレンジ色のエルメスの箱。
カップボードに並ぶお皿やカップはエルメス、ヘレンドなど一流ブランドのもので揃えられています。カフェで提供されるドリンクやお菓子にはこれらのテーブルウェアを使って提供されているそう。1客数万円する食器を前に背筋が伸びます。
まるでカウンター割烹。目の前で盛り付けられる美しいデザート
「GION NISHI CAFE」の魅力のひとつが、目の前のカウンターでデザートの仕上がっていく様子が見られること。カフェを任されるのは、スイーツ激戦区の神戸で研鑽を積んできたパティシエールの大石さん。畑違いの京懐石のお店に入ったことで、今までいたお菓子作りの世界とはまるで違うアプローチに驚きと気づきがあったそうです。
たとえば冬から春にかけてあらゆるスイーツの主役になるいちご。ケーキに使うときには、和食の隠し包丁の技法を用いることでクリームやスポンジとよりしっくりと調和するそうです。
「季節のタルト」1050円。ドリンクsetはどのドリンクを選んでも一律+500円
エルメスのお皿に、余白の美を計算して盛り付けられた季節のフルーツタルト。春はいちごが主役です。セットのドリンクはコーヒー(HOT・ICE)、アイスカフェオレ、紅茶(アールグレー、アッサムパリ)、フレーバーティー(モルゲンタウ、スイートベリーズ)から選べます。
デコレーションに添えられる氷菓は日によって数種類用意されていて、好きなものを選ぶことができます。バニラやチョコレートもありましたが、今回はフランボワーズのジェラートをチョイス。フレッシュなラズベリーやいちごの上にはローズの花びらや金箔がひらひらと舞い、非日常な気分を盛り上げてくれます。
デコレーションの美しさはもちろん、口に入れたときの舌触りや素材同士の味のバランスまでもが計算されています。特筆したいのはタルトの生地部分。タルトにはフォークではうまく切れないイメージがあるのですが、このタルトはしっとりと焼き上げて食べやすく作られています。
「Los alpes (ロスアルぺス:華やかな香りと明るい酸味が特徴のコーヒー)」700円
エルメス、ヘレンドのカップで提供されるコーヒーは、ハンドドリップで丁寧に淹れたもの。「お客様に合わせて器をセレクトしています」と大石さん。「お洋服の色は、お客様の好きな色。」と、一人ひとりに似合うカップでおもてなしの心を伝えます。
美しさと技術が融合する季節のパフェ
「苺とピスタチオのパフェ」2000円。ドリンクsetはどのドリンクを選んでも一律+500円
話題のワイングラスパフェでも季節の移ろいを感じさせてくれます。グラスの中で美しく並ぶいちごやピスタチオのクリームに、メレンゲの冠をのせておめかしした「苺とピスタチオのパフェ」は12月から2月頃にかけて登場する季節のパフェ。
グラスの中にはマルサラ葡萄酒といちごのソルベ、バニラといちごのマーブルアイス、エルダーシロップのジュレ、蜂蜜のマドレーヌ、いちごミルクのブランマンジェ、フレッシュいちごにピスタチオクリーム……とひとつひとつ手の込んだスイーツが美しく盛り付けられています。
「せとかと金柑のパフェ」1500円。ドリンクsetはどのドリンクを選んでも一律+500円
初冬から3月初旬にかけて登場するパフェの主役はせとかと金柑。直径3㎝に満たないほどの小さな柑橘である金柑は皮ごと食べられ、ほろ苦い後味と甘みがお菓子作りをする人たちに愛されるフルーツ。
みずみずしい甘さの愛媛県産せとかと宮崎県産金柑たまたまを主役に、蜂蜜のクリームとレアチーズのクリームが包み込みます。玉雪のようなヨーグルトアイスの粒を降らせた頂上には、金柑の皮のコンポートを器にしたクリームブリュレが鎮座します。添えられたオレンジのソースはお好みで。
見た目の繊細な美しさだけではなく、菓子作りの技巧を凝らした極上のパフェに心ときめきます。ちなみにこちらのグラスは強化ガラスを使った特製なので、緊張しなくても大丈夫ですよ!