今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
軽やかな共生をめざして
今週のかに座は、自分が何かを受け継ぎ、語り継いでいく、その形式についてあれこれ思案を巡らしていくような星回り。
古代ギリシャでは数々の「学派」や「学校」が誕生し、数々の共同研究の成果や資料を蓄積することで、思想を次世代に引き継ぐ役割を果たしていきました。
なかでも、プラトンが開いた学園アカデメイアは群を抜いた存在でしたが、彼は師であるソクラテスの刑死から、日常生活の空間で自由に議論することの危険をよく認識し、あえて空間を限ることで、学問の自由と発展を可能にする場を作り出したのでした。
あなたもまた、自分が参画したり、作っていきたい場の在り様ということを改めて思い描いてみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
風に身を委ねる
今週のしし座は、サーっと見える景色が様変わりしていくような星回り。
『薫風や横綱肩に子を乗せて』(村上鞆彦)という句のごとし。私たちは、掲句のような意味での非現実的な「薫風」を、通常の知的処理の意味ではよく知らないと同時に、日本人として共有された身体性の奥深くに刻み込まれたDNAのレベルではよく知っているのではないでしょうか。
そして、時どきふとした拍子に、その感覚を思い出しては、知的ないし社会的に凝り固まった自己を刷新していくのです。
あなたもまた、そうして奥深いところで自分自身を変えてしまうような“新鮮な息吹”を肌身で感じていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
暴力と昇華をめぐって
今週のおとめ座は、なんとか延命させつつ引きずってきた過去に、ひとつのケジメを付けていこうとするような星回り。
竹内整一の『やまと言葉で哲学する』によれば、一般に世界の別れ言葉は①神の加護を願うもの、②また会うことを願うもの、③「お元気で」と願うものの3タイプに分かれるそうなのですが、日本語の「さようなら」はいずれにもあてはまらないのだそうです。
そこには「別れに際して、「さようであるならば」と、いったん立ち止まり、何事かを確認することによって、次のことに進んで行こうとする)という、日本人に独特な発想がある」わけですが、それは自分が為してきたあれこれをひと繋ぎにまとめて、「物語」にしていくという過程に他ならないのではないでしょうか。
あなたもまた、そうした物語化の儀式に臨んでいくつもりで過ごしてみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
冷厳たる現実と向きあう
今週のてんびん座は、自分が生きているという実感の基準を思い定めていこうとするような星回り。
『山ざくら石の寂しさ極まりぬ』(加藤楸邨)という句のごとし。ほんの一時の有限の命に過ぎない人間は、どこで誰と何をしようが、どんなに孤独な状況にあろうが、掲句の放置された石ほど究極のさみしさには達し得ない。
その意味で、作者は石と向き合うことを通して自身の内側にあるさみしさの程をはかり、究極のさみしさとの差分によって救われようとしていたのかも知れません。
あなたもまた、掲句の「石」のごときものを自分なりに追い求めていくべし。