今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ゆるゆるボンバー
今週のかに座は、ここのところ見失っていたやすらぎを再発見していくような星回り。
『泉への道後れゆく安けさよ』(石田波郷)という句のごとし。
作者は結核をわずらい、一時は死を覚悟するほど病状が悪化していたものの、そこから奇跡的に生還を果たした直後でしたから、こうして生き永らえて泉への下り道を歩いていること自体、まだ信じられない気持ちでいたのかも知れません。
あなたもまた、「人を信じて後ろからついていく気持ち」をしみじみと味わってみるべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
石を待つ
今週のしし座は、言葉の行き着く先をきちんと把握し、それと一体化することを大切にしていこうとするような星回り。
ロジェ・カイヨワが生前最後に残した著書であり、ギリシアの川神に託して自らの思想の遍歴を語った『アルペイオスの流れ : 旅路の果てに』には次のような記述が出てきます。
「私は石が、その冷やかな、永遠の塊りの中に、物質に可能な変容の総体を、何ものも、感受性、知性、想像力さえも排除することなく含みもっていることに気づきつつあった。と同時に、絶対的な啞者である石は私には、書物を蔑視し、時間を超えるひとつの伝言を差し出しているように思われるのだった。」
今週のしし座もまた、みずからの内側に潜んでいる「石」のごとき、沈黙としずかに向きあってみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
水を吸って伸びる茎
今週のおとめ座は、自身がいきいき生きていく上で不可欠な要素を差し込んでいくような星回り。
『ガーベラ挿すコロナビールの空壜に』(榮猿丸)という句のごとし。
昼の室内の明るさと花の華やかさとが足並みを揃えて互いに呼応しあう一方、その下で葉のついていない茎が無防備に伸びているのがいい。それは昼の顔とは別の、夜の顔をどこかで連想させますし、それが水を吸ってしばらく生き永らえるのだと思うと、妙ななまなましさが漂ってくる。
あなたもまた、日常の中にあるエロスを改めて見出していくことになりそうです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
論理の裂け目から
今週のてんびん座は、理屈で理解できないものへの感受性をハッと取り戻していくような星回り。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスがつくったリュケイオンという学校には散歩道があって、アリストテレスは実際にそこを散歩しながら講義をしていたのだそうです。
実はこれはまったく理にかなった話で、他愛ない会話だけでなく、哲学的な議論が深まるかどうかは、「正しさ」だとか「合理性」のようなものから、どのように距離を取れるかで決まってきます。
今週のてんびん座にとっても、深く物事を考えていくための環境をいかに能動的に獲得していくことができるかどうかが、一つの分水嶺となっていくはず。