各ジャンルに詳しい専門家や愛好家が、テーマごとに“NO.1のおでかけ先”を紹介するコーナー『わたしのイチ推し。』。今回は1,800以上の庭園を巡ったイトウマサトシさんが「東京の無料で楽しめる大名庭園ならココ!」という庭園をナビゲートします。
全国の日本庭園を巡るインスタグラマーがナビゲート!
日本全国の「庭園」を巡って紹介するウェブサイト『おにわさん』を運営するイトウマサトシと申します。『おにわさん』ではこれまで約1,800カ所の日本の庭園を紹介。インスタグラムは7.8万人の方にフォローいただいています!
今回は「東京の無料で楽しめる大名庭園ならココ!」というスポットを紹介したいと思います。
肩肘張らずに過ごせるのが魅力な歴史ある庭園/肥後細川庭園
東京の代表的な「庭園」といえば、六義園や小石川後楽園、浜離宮恩賜庭園などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
これらは江戸時代に徳川将軍家や大名の屋敷に造成されたルーツを持つ「大名庭園(ダイミョウテイエン)」で、上述の3庭園もそうであるように入園料を支払って鑑賞するところがほとんどです。
一方、無料公開されている庭園や公園でも「江戸時代には大名の屋敷だった」歴史を持つ場所が、都内にいくつかあるのです!今回は中でも個人的に最も通った、そして好きな場所である「肥後細川庭園(ヒゴホソカワテイエン)」をご紹介します。
最寄駅は都電荒川線の早稲田駅。東京メトロの早稲田駅や江戸川橋駅からも徒歩圏内の場所に、今回ご紹介する「肥後細川庭園」はあります。江戸時代には「熊本城」で有名な肥後熊本藩主・細川家の江戸屋敷(別邸)がこの一帯にあり、それが庭園の名の由来になっているのだそう。
細川家といえば室町時代には管領や戦国大名として名を馳せ、現代には総理大臣も輩出した名家。現在の肥後細川庭園内に残る和風建築「松聲閣(ショウセイカク)」も当時細川家の学問所として建てられたもので、関東大震災で細川家の本邸が被災した後には仮の本邸としても利用された由緒ある建物です。
そして昭和36(1961)年、東京の公園として開園します。筆者が初めて訪れた約10年前にはまだ以前の「新江戸川公園」の名前でした。「庭園」ではなく「公園」の名なのに、とても立派な日本庭園で驚いたことを今でも覚えています。
ただ当時は今ほど園路も整備・開放されておらず、実はここ数年できれいに整備が進みました。新たにバリアフリー園路が設けられたりと利便性が向上する一方で、熊本藩最後の御用絵師が描いた明治時代の古絵図から大きくは変わらない庭園の姿が今も残ります。
個人的な話ですが、この庭園をよく訪れていたのは、近隣にある運動公園へスポーツをしに通っていたからでした。
「渋い」「難しい」と思われがちな「庭園」。この庭園もきれいに整備される以前はやはりそんなイメージがあったのですが、改修後の現在では年配の方はもちろん、その運動公園帰りとおぼしき格好の方や子ども、近隣の大学生など、さまざまな年齢層の方が訪れる場になったという印象を受けます。
「公園」となり広く開かれたからこそ、肩肘張らずに楽しめるのがこの肥後細川庭園の魅力的なところだと思います。
個人的にオススメなビューポイントは神田川方面の「築山」に登ったあたり。右の写真をよく見てみてください。実はこの場所、正面に滝があります。改修前にはこんな立派な滝があるとはつゆ知らず。現在では池の対岸のこの場所まで滝の音が聞こえてきて、とても癒やされるんです。
先ほどの場所の対岸にはこのような園路や休憩できるベンチが備えられています。
こちらでゆっくりくつろいだ後は、斜面をさらに登った先にある美術館「永青文庫」で展示を鑑賞するのもオススメ。肥後川庭園と隣接する美術館で、ときおり永青文庫と肥後細川庭園による共同企画展示も行われています。
また、先述の「松聲閣」内にある喫茶「椿」で一息つくのも◎。お抹茶と熊本藩ゆかりの和菓子をいただけるほか、これからの暑い季節に嬉しい「冷抹茶」もありますよ。
周辺には「ホテル椿山荘東京」や「関口芭蕉庵」など庭園のある施設・史跡もたくさん!肥後川庭園を訪れた際は、ぜひ他の庭園もあわせて巡ってみては?
所在地
東京都文京区 目白台1-1-22
最寄駅
早稲田
電話番号
03-3941-2010
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