「MASH kyoto(まっしゅ きょうと)」は、京都の都市部・高辻通の少し南、東洞院通に面した小さなパン屋さん。「京都らしい、おもしろいパンを作りたい」と考案した和菓子のようなパンが話題で、土・日曜ならお昼過ぎ、平日でも夕方頃には完売してしまう大人気店です。一体どんなパンなのでしょう?
古民家を改築した“古都”らしいベーカリー
「MASH kyoto」があるのは地下鉄四条駅・阪急烏丸駅から、南へ徒歩4、5分のエリア。京都の中心部にあり、観光のついでなど際にも立ち寄りやすい立地です。
古民家を改築した建物は、古風な佇まいの中に現代らしさをほんのり宿した印象的な店構え。シックな外観に映える赤い立て看板や、「ぱん」と書かれた灯籠などが目を惹き、古都京都ならではの雰囲気にのパン屋さんらしいワクワクします。
店内もシックな色彩と調度品でしつらえられ、古風な趣がすてきです。2、3人が入ればいっぱいになるこぢんまりとした空間に、色とりどりのパンが並びます。
こちらがMASH kyotoのオーナー兼ブーランジェの増野さんです。日本のベーカリーでパンのおもしろさに触れ、パン屋さんになろうと決意。「目指すからには本場を知っておかなければ」との思いでフランス・パリへと渡りました。修行を積んで帰国したのち、地元の京都で同店をオープンさせました。
「パリで痛感したのは、日本のフランスパンとは異なる粉の配合でした。帰国後、現地の粉の配合をベースに、オリジナリティが出せるよう試行錯誤の日々。バケットはカリッとした外側と、しっとりとした内側の食感のコントラストを楽しんでいただけるように作り上げました」と増野さんは話します。
完売必至! 並んでいたら絶対買い!おすすめの菓子パン4選
同店がユニークなのは、パリ仕込みのバケットやブールとともに京都の素材を使用した和菓子風の菓子パンが並ぶことです。取材時は平日の13時過ぎだったのですが、すでに多くのパンが完売状態。手に入れるのは至難の業ですが、もし店頭に並んでいたら絶対ゲットしたい、おすすめの菓子パンを4つご紹介します!
【花のいろは】
真っ白のパン生地にスミレの花をトッピングした「花のいろは」299円。しっとりとした生地と紫芋のこしあんが繊細なハーモニーを生み出します。
【粽(ちまき)あんぱん】
京都では祇園祭の期間中、軒先に笹の葉で作ったお守り「粽(ちまき)」を飾るのが慣わしならわしです。この粽をモチーフにした菓子パンが「粽あんぱん」275円。こしあんの中に白玉団子を忍ばせ、笹の葉を巻いて仕上げたこだわりの逸品です。毎年祇園祭が近づく6・7月限定でお目見えします。
【藤壺】
緑色が美しい「藤壺」297円は、京都の老舗日本茶店「一保堂茶舗(いっぽどうちゃほ)」のお抹茶と玉露粉を生地に練り込み、粒あんと抹茶白玉を包み込んだもの。口に入れた瞬間お茶の香りが豊かに広がりつつ、抹茶白玉のもちもち感が食感の楽しさも演出します。
【六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)】
「六条御息所」297円は、ブラックココアを練り込んだ生地に、いちごジャム・ラズベリージャム・カスタードクリームをイン。ほのかに香るシナモンが大人の風味を残します。『源氏物語』に登場する嫉妬にとらわれた女性“六条御息所”がモチーフ。
サンドイッチやハード系パンも抜群
「どこにもないようなパンを作りたい」と話す増野さんだからこそ、お店に並ぶパンはどれも「これはどんな味だろう?」と気になるものばかり。サンドイッチやハード系パンも変わり種がずらり!