今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
天地有情ということ
今週のさそり座は、切れたと思っていたつながりが偶然にもつながっていくような星回り。
『秋の航(こう)一大紺円盤の中』(中村草田男)という句のごとし。この句を詠んだ時、作者は二十代後半から俳句を始めて間もない28歳。師について回った北海道旅行で、初めて見た青函連絡船に強い印象を受けて書いた句といわれています。
もともと神経衰弱の治療もかねて俳句を始めた作者でしたが、内へ内へとこもりがちであった作者の精神が、ここで詠まれた見渡す限り紺一色の大海原に感応することで、自身の衰弱ぶりを克服し、逆に一気に外へ向けて発露していく端緒を得たのでしょう。
あなたもまた、思い切って果ての果てまで行き切ったところで、自分を包みこむ大いなる何かを感得していくことがテーマとなっていきそうです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
物わかりのいい人間をやめる
今週のいて座は、改めてモラルと合理的計算の組み合わせ以外の仕方で、組織や共同体を治めていくやり方について思い巡らせていくような星回り。
哲学者のミシェル・フーコーは、近代国家のルーツを牧者(羊飼い)と羊の関係をモデルとしたキリスト教における「司牧権力」に見出しました。また「歴史から司牧を追い出してしまう深い革命」は、過去に一度も起こらなかったという重要な指摘も残しています。
それはなぜか。おそらく、羊の集団を統治する司牧の善行と、合理的計算を旨とする政治経済との結びつきがあまりに強固なものであったため、抵抗運動や革命運動がそれ以外の、つまり合理的計算に基づいたもの以外の統治の在り方を求めるような「深さ」にまで至っていなかったからであるように思われます。
あなたもまた、近代的統治のオルタナティブを自分事として構想してみるべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
異な風が吹いていく
今週のやぎ座は、漂泊への思いをつのらせていくような星回り。
『秋かぜのうごかして行(ゆく)案山子(かがし)かな』(与謝蕪村)という句のごとし。友人が筑紫へ旅に出るので、自分も行かないかと誘われたけれど、その時は作者は事情があって行かなかった。その友人が翌年の春に病死し、その時のことを思い出している。
九州行脚への誘いは、すでに京都に居を構えていた作者にとってはまさにリスクしかない無茶ぶりだった訳ですが、のちに妻子をもうけてもなお、作者の漂泊への思いは抑えがたいものだったのでしょう。掲句はある種の予感のあらわれだったのだとも言えます。
あなたもまた、自身の定住ぶりをカッコにいれて、旅の道連れを探してみるべし。