レッツエンジョイ東京、FUN!TOKYO!、偏愛東京の3サイトによる連動企画「ちょっと“偏”なまちあるき」。さまざまなジャンルの専門家や愛好家が、ちょっぴり“偏愛”的にJR沿線のまちあるき情報を紹介します。今回はカレー愛好家・カレー細胞さんが「神田カレーグランプリ2023」の注目店をナビゲート。
「神田カレーグランプリ2023」注目店をカレー愛好家が厳選!
400店以上ものカレー提供店がひしめきあう神田地区(神保町・御茶ノ水・小川町・神田・秋葉原など)。そんな神田地区を舞台に、毎回80,000人以上が参加する秋の一大イベントが「神田カレーグランプリ」です。
2部構成になっており、参加店を巡る「食べ歩きスタンプラリー」(8月1日~12月20日)とファン投票でグランプリを決定する「神田カレーグランプリ決定戦」(11月4日、5日)が開催されます。
2023年の参加店は総勢142店舗。本記事では、国内外4,000軒以上のカレー屋を渡り歩く筆者が、数ある参加店の中から注目の3店舗を紹介します。
大正13年創業!カレーの街・神保町の”最老舗”/スマトラカレー共栄堂
「スマトラカレー共栄堂」の創業は大正13(1924)年。来年にはなんと100周年を迎える神保町の最古参カレー店です。にも関わらず、提供されるカレーはいわゆる「懐かしい昔ながらのカレーライス」とは全く異なる独自路線系です。
99年経った今でも似たカレーがないというのはすごいこと。地方から東京に来たカレー好きに「東京にしかない、東京ならではのカレーを食べたい」と言われたらここを推して間違いないでしょう。
『ミシュランガイド東京2016』からビブグルマンとして8年連続で登場しているお店でもあります。
店名の“スマトラ”とはインドネシアのスマトラ島のこと。探検家・伊藤友治郎氏がスマトラ島から持ち帰ったレシピをもとにカレーを作り、京橋の「カフェ南国」で提供。ところが大正12(1923)年の関東大震災で「カフェ南国」は崩壊し閉店することに。
その際に伊藤氏と親交があった「共栄堂」の創業者がそのレシピを受け継ぎ、日本人の口に合うようアレンジを加えて生まれたのが現在の「スマトラカレー」なのだそうです。
「共栄堂」のスマトラカレーが他店のカレーと全く異なるのはその独特な作り方にあります。20数種のミックススパイスをほろ苦さが出るまで1時間ほどかけて焙煎。そこに野菜と肉で仕込んだスープを加えることで、黒いカレーソースが完成します。
さらにそれぞれのカレーメニューに合わせて別々に仕込んだブイヨンを加え、伸ばしていくことで、具材とマッチしたカレーの味わいを作り上げていくのです。
そう、つまり「共栄堂」のカレーはこの店独自の個性がありつつも、メニューによってカレーソースの味わいが違うんですよね。
共栄堂のスマトラカレーの味と、その焙煎スパイスによる独特のほろ苦さを楽しむなら「ポーク」(1,100円)がオススメ。スマトラカレーの基本の味わいと、豚肉のうま味をじっくり感じることができます。
カレーをたっぷり食べたいなら「ソース大盛り」(1,300円)でのオーダーを。食べている途中でのソース追加も可能ですよ。
ライスはコシヒカリを硬めに炊いたもの。小麦粉不使用かつスパイシーなので、スルスルと食べ進めることができます。
こちらの「タン」(1,950円)は牛タンたっぷりのリッチな仕様。ベースとなるカレーにさらに牛のフォンを加えることで、ソース自体にも牛のコクとうま味がプラスされているんです。
スプーンでカレーソースをすくうと、贅沢な厚切り牛タンがゴロゴロと現れます。とろけるような軟らかさです。ソースも具材も牛肉尽くし。少し贅沢をしたい気分の時はこちらがオススメです。
その他、「チキン」には鶏と野菜のブイヨン、「海老」にはエビ味噌とそれぞれのアレンジが。約100年前に生み出されたとは信じがたい、神田カレーのマスターピースをご堪能ください。
所在地
東京都千代田区神田神保町1-6 B1
最寄駅
神保町
九州ランカの進化系!東京初進出の福岡の人気店/RスリランカTOKYO
福岡で行列ができる人気カレー店「Rスリランカ」が2022年10月、東京初進出。店舗はJR水道橋駅と東京メトロ神保町駅のちょうど間あたりにあります。
店名に「スリランカ」とありますが、いわゆるスリランカ料理とはちょっと違うのがポイント。
実は福岡には独自の「九州ランカ」というスタイルのカレーがあるんです。1980年代後半、スリランカ料理をベースに福岡で生まれた「九州ランカ」は、シャバシャバでココナッツミルクたっぷり、そして辛口スパイシーなのが特徴。
この「Rスリランカ」はさらに和の要素を加え、アッツアツの鉄鍋で提供するスタイルを生み出した「九州ランカ」の進化系ともいえる名店です。
オススメは「ドライカレー&カレー」(1,000円)+「マッシュポテト」(200円)。カレーの中央にはスクエアなドライカレーがのっています。このライス部分の造形はオーダーするメニューによって異なるのもポイントです。
シャバシャバなカレー部分は、スリランカのシンプルなスープ「キリホディ」をベースに醤油などを加え、日本人の味覚にマッチするようバランスを再構築したもの。ココナッツミルクだけではない、さまざまなうま味にあふれたカレーです。
中央のドライカレーは、いわゆる昭和な喫茶店のドライカレーをビシッとスパイシーにした感じ。
別々に食べても美味しいのですが、このドライカレーを崩してシャバシャバカレーに浸せば、さらなる美味へと変化します。
▲お店の一番人気「豚肩ロースステーキカレー/レギュラー」(1,500円)筋切りされた豚肉の軟らかさと粗挽きブラックペッパーの刺激がたまらない
ビジュアルのキャッチーさだけでなく味も他店とは一線を画し、オリジナリティーが光ります。もちろん「神田カレーグランプリ」への参加は今年が初。未体験の衝撃をぜひ味わってみてください。
所在地
東京都千代田区神田神保町 1-54-4 JHVビル1F
最寄駅
神保町
電話番号
03-5280-7066
圧倒的ビジュアルと手の込んだ美味しさ/洋食膳 海カレーTAKEUCHI
欧風カレーにスパイスカレー、インドカレー、スリランカカレー、タイカレー・・・多彩なジャンルがそろう神田エリアでも、ずば抜けて個性的なカレー店といえばこちらの「洋食膳 海カレーTAKEUCHI(タケウチ)」。
平成25(2013)年に創業し、2023年でちょうど10周年。オープン当初は比較的スタンダードな洋食カレーを提供していたものの、歳月を重ねるにつれ店主の思いとこだわりがエスカレート。今では誰も真似できない、いや真似しようとさえ思わないほど手の込んだカレーを提供しています。