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「どんでん返し」がすごい!伏線回収が秀逸すぎる2023年公開の映画8作品を見てほしい

8:『search/#サーチ2』

高い評価を得た『search サーチ』の続編ですが、物語は「インターネットおよびSNSを駆使して行方不明の母を探す」とシンプルなので、前作を見ていなくても問題なく楽しめるでしょう。「100%全てPC画面上の映像で展開していくサスペンススリラー」というキャッチーかつ挑戦的な前作のアプローチを踏襲しながら、しっかり新機軸も用意してくれています。

その新機軸の1つが、主人公がSNSを器用に使いこなす「デジタルネイティブ世代」の18歳の女性ということ。複数のSNSやアプリをほぼ同時並行でチェックするのはお手のもので、それがリアルかつスピーディな編集の映像にそのままシンクロしている様を楽しめるでしょう。そして、どんでん返し部分は「全画面伏線アリ」が言い過ぎではないほどに納得できる上、この上なく恐ろしくスリリングなものになっていました。

次のページ:むしろ「どんでん返し」要素以外に魅力がある映画も

まとめ:SNSとどんでん返しは相性がいい?

こうして2023年のどんでん返し系の映画を振り返ってみると、『配信犯罪』『#マンホール』『search/#サーチ2』はSNSやネット配信が発達した今だからこそできる内容であり、すぐに誰かとコミュニケーションできる利便性と、はたまたその危険性の両面を示すことに成功しています。むしろ、その「信用ならなさ」こそがどんでん返しと相性がいいと気付かされました。

また、ここで紹介した映画のどんでん返しは、いずれも伏線をきちんと回収した上での仕掛けになっていることも美点ですが、その中でも意外な展開の連続が作品の主題と明確に結びついている『法廷遊戯』は、どんでん返し系の映画でも頭1つ抜けた秀逸な出来だったと思います。

あまり語られない? ほかにもおすすめのどんでん返し系映画

このほかにも見事などんでん返しを用意した、でもどんでん返し系の映画としては名前があまり挙がっていないようにも思える作品を簡単に紹介しておきましょう。

『アンテベラム』……現代の人気作家と、南部の奴隷の2つの視点の日常が描かれ、真相が導き出されていく
『灼熱の魂』……レバノン内戦の時代の地獄のような世界で生きた母の過去の謎を、現在の彼女の子どもが追う
『22年目の告白 -私が殺人犯です-』……連続殺人事件の犯人を名乗る男の告白が日本中を大混乱させる
『半分の月がのぼる空』……平凡な高校生と心臓に病を持つ少女とのラブストーリー
『大脱出』……ラストではなく中盤で衝撃の事実が判明するアクション映画。日本版の予告がネタバレしているので注意!
『貞子VS伽倻子』……日本のホラー映画のアイコン的キャラクターがまさかの対決! その結末は……?

いずれも、謎の真相がじわじわと明らかになっていく、もしくは衝撃の展開につながる過程、そして「決定的な瞬間」を楽しみにしてほしいです。

「どんでん返し」とは違う魅力があるのでは? と思った映画も

はたまた、宣伝ではどんでん返しを訴えているけど、どんでん返し部分と違う魅力のほうが大きいのでは? と思った映画もあります。

『シャッター・アイランド』……孤島の犯罪者用精神病院で巻き起こるミステリー
『騙し絵の牙』……出版業界での起死回生の手段に打って出るまでの思惑が交錯するドラマ
『ミッション:8ミニッツ』……見知らぬ列車で目覚めた男を追うSFサスペンス

特に『ミッション:8ミニッツ』は「警告:このラスト、映画通ほどダマされる」というキャッチコピーとなっていましたが、むしろ映画を見なれている人ほど「納得」できるラストであり、深い「人間讃歌」こそが主題の作品であると思いました。

そして、どんでん返しがある前提で「だまされるもんか!」と意識して見るのももちろん楽しいですし、どんでん返しがあることを忘れて「まさかこうなるとは!」と驚くというのもいいものです。いずれにせよ、予想を裏切る展開そのものはもちろん、そこに至るまでの、観客を楽しませるために作り込まれた「過程」も楽しんでほしいです。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の魅力だけでなく、映画興行全体の傾向や宣伝手法の分析など、多角的な視点から映画について考察する。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。

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