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ゆっくり動くとメンタルが安定するって本当?|0.75倍速で生きてみよう

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約束に遅れそうで早歩き、信号待ちでイライラ。あなたは今日も“倍速”で生きていませんか? “標準”よりもさらにゆっくり。“0.75倍速”のスピードで生きれば、心も穏やか。メンタル安定の毎日に!

教えてくれたのは…

工藤内科 院長 工藤孝文先生
内科医として地域医療に関わるだけでなく、東洋医学・漢方治療を用いたダイエット専門医としても活躍。著書に『名医が教える! 健康寿命を延ばして元気になる知恵 自律神経』(朝日新聞出版)など多数。

ゆっくり動くことが、なぜいいの?

副交感神経が優位な状態をつくろう

副交感神経が優位になると心身がリラックスモードに入るため、気持ちが安定しやすくなります。自律神経は通常、夜間に交感神経から副交感神経に切り替わるのですが、ゆっくり動くことでも“副交感神経が優位な状態”をつくることが可能。つまり心拍が遅く、筋肉の緊張が解けて血圧が下がっている状態をつくること。この身体の状態を意識できれば、自然とメンタルが安定。

スピードは速くてOK! でも焦りは禁物

焦っているときは交感神経が活発になっている状態で、いつも以上にイライラしやすく……。逆に、ゆっくりと行動しているときは副交感神経が優位になっているので、余裕を持って物事に取り組むことができます。呼吸が浅くなっていたり、走って汗ばむような急ぎ方をしているときには失敗も起こりやすいもの。急いでいるときこそ、行動はスピーディに。でも決して慌てず、焦らないこと!

自分のストレスは相手へも伝播する

見るからに忙しくしている人には、用事があっても「声をかけにくいな」と感じた経験は誰しもあるはず。焦ってイライラした状態で人と接すると、相手にもその気持ちは伝わってしまうのです。また、イライラしている状態がクセになると、自律神経も乱れやすく。ストレスがかかりやすい作業を行うときほど、ゆっくり行動! それを心がければメンタルは安定して、人間関係も円滑に。

頑張る人はアドレナリンが全開に!

「お金を稼ぎたい、出世したい、成功したい」など願望が多い人ほど、それを叶えるため一生懸命に努力するので、交感神経が活発になりやすいのだそう。実は、ガツガツと仕事をこなしているときにはアドレナリンが放出されて神経が昂り、イライラしやすい状態。しかも、望みが叶わなかったときは気分の落ち込みにもつながるため、欲求が強すぎるとメンタルもブレやすくなることに。

0.75倍速で生きることが豊かさをつくる

いま、「動画を倍速で再生する」という人は多のでは? たしかに、視聴時間が短くなれば効率的。現代に生きる人はとにかく忙しく、日々の情報量も多いので、ゆっくりなどしていられない——と言って、せかせかと“倍速行動”を続けていると、実は自律神経のバランスを崩しやすくなるのだそう。

「忙しく動きまわっているとき、自律神経は交感神経が活発な状態です。つまり、倍速で行動してばかりいると交感神経の働きが高い状態が続くため、心身ともに休むタイミングがなくなってしまい、イライラしやすくなるのです」。さらに、いつも“戦闘モード”で待機していると、脳疲労を引き起こしやすくなるといいます。

「すべての行動では難しくても、意識的にゆっくりする場面をつくったり、できるだけ丁寧な動作を心がけてみましょう。“ゆっくり時間”を取り入れてバランスを取るようにするのが、メンタルの安定につながります」

行動するスピードが変わってくると、いままで気がつかなかったことにも気づけるように!「例えば通勤中、いつもの道にすごくかわいらしい花が咲いていることに気がつける、そんな生き方のほうが、きっと豊かですよね」

効率よく生きることは、現代的な賢い方法。けれど、髪をかすめる春風のそよぎや晴れた空に伸びる飛行機雲を眺めることが、疲れた心の栄養になることも。早まわしもときには必要だけれど、日常を“0.75倍速”で行動すると、人生に新しい楽しみと喜びが訪れるはず。

llustration:Shoko Kawai edit&text:Kaoru Bansho re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.23(2022年5月13日発売)より抜粋。

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