未来に明るい兆しが見えず、不安を感じていませんか? 虚実入り乱れる世界に身を置く私たちは、ともすると、誤った情報に流され、足元が揺らぎがちです。日本の象徴・富士山を望む地を訪れた江原啓之さんから、大切なメッセージが届きました。
富士を仰いで、取り戻す、私たちの心。
富士山は、「信仰の対象と芸術の源泉」として、世界文化遺産に登録されています。自然遺産ではなく、文化遺産であるのは、そこに「信仰」という文化が深く関わっているからです。
日本人は富士の姿に長く“神”を見いだしてきました。富士信仰は各地にありますが、それこそ“お山”が皆の心の支柱である証しでしょう。
「お山が見ている」という安心感のもと、自分を律することができるのは、そこに“正義”を感じるからに他なりません。この国には、秩序を守る心がある。震災などの大変な状況下でもきちんと整列して待つ姿に海外からは驚きの声が上がりますが、元来、そういう善良な心を持っているのです。いま一度、その美しい宝を思い出すときです。
富士山に縁の深い神様を祀る神社を遥拝し、祈りを捧げて。
神部(かんべ)神社、浅間(あさま)神社、大歳御祖(おおとしみおや)神社の3社と、少彦名(すくなひこな)神社、麓山(はやま)神社などの境内社を合わせた7社を総称して「静岡浅間神社」。親しみを込めて「おせんげんさま」と呼ばれている。浅間神社の主祭神は「木之花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」。平安時代に富士山本宮浅間大社から分霊され、冨士新宮として祀られたのだとか。「今はお化粧直し中で近くまでは行けませんが、遠くからでも遥拝できます」(江原さん)
静岡浅間神社(しずおかせんげんじんじゃ)
静岡県静岡市葵区宮ケ崎町102‐1 TEL:054・245・1820 社殿のほとんどは総漆塗りの極彩色。国の重要文化財に指定されている26棟は、20年かけて順次化粧直しが行われる。現在は神部神社、浅間神社の大拝殿(おおはいでん)と南回廊を塗り替え中。
少彦名(すくなひこな)神社
健康への不安が増す’24年、最も大事なヒントがここに。
「医薬の神・少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀るこの神社が印象深い」と江原さん。’24年を生きるためのヒントがここにあるのだそう。「医学の発達していなかった時代は、病を得ても自然に生き、自然に枯れていっていました。そのことに思いを馳せ、健康について考えることが必要です。食べるために知恵を働かせ、悩む暇もなく体を動かしていた時代は、今ほど心を病む人はいなかったのでは」
地域の人々の暮らしや繁栄を見守ってきた神様。
境内では七五三参りに訪れる家族連れの姿も…。大歳御祖神社の主祭神は、大歳御祖命(おおとしみおやのみこと/お稲荷様である倉稲魂神〈うかのみたまのかみ〉の母神様)。「まさにこの静岡の街の発展や人々の暮らしを見守ってきたお宮ですね。城下町として栄えてきた街ですが、やはりお宮があるからこそ、門前が賑わうもの。元々、信仰と繁栄というのは、深くつながっているものなんです」(江原さん)
麓山(はやま)神社
五穀豊穣に感謝して、衣食住を一から見直すことが必要。
山の恵み(木材や水利)を守護するお宮。春には“田の神”として豊穣をつかさどる。衣食住全般を守護する・大山祇命(おおやまづみのみこと)が主祭神。「そもそも神社は、人々の生活に根づいた場所。村祭りで五穀豊穣に感謝することに代表されるように、自然の恩恵を分かち合ってきたんです。そういう感謝を思い出し、いま一度、原点に返って“衣食住”を見直さないといけません」(江原さん)
神社にお参りするときは、木々への感謝も忘れないで。
静岡浅間神社は、静岡という地名の由来になった賤機山(しずはたやま)の麓にあるお宮。いたるところに緑が…。「鎮守の杜というとき、“森”ではなく“杜”という字を使うのは神座となる“ひもろぎ”を意味するから。土の上に木があり、そこに神様を降ろしていたんです。神社をお参りするときは、御神木に限らず、木々への感謝を忘れないで。“木々の怒り”を招かないように」(江原さん)
えはら・ひろゆき スピリチュアリスト、オペラ歌手。『お祓い箱 令和六年 御託宣付き』『御神威カード付き パワースポットの条件』(共にマガジンハウス)が好評発売中。公式HPはhttps://www.ehara-hiroyuki.com/guest/index.php
※『anan』2023年1月3日‐10日合併号より。写真・小川朋央 取材、文・湯川久未
(by anan編集部)