性教育は小さい頃からはじめるべき。そんな話をよく聞きますが、私たちは家庭での性教育経験が少ない世代。でも、子どもの成長とともに向き合わなくちゃいけないことも増えるのが「性」のこと。今回は、夫婦の性教育ユニット『アクロストン』のおふたりに、まず親が理解するべき3つのことを聞きました。
まず親として「相手をひとりの人として
尊重する」ことから
❝子どもに教える前に 大人が理解して習慣に❞
「性教育」という言葉にすると、つい身構えてしまいますが、自分の体、自分の生き方をより幸せなものとしていくために、必要な知識(科学的に正しい知識)を身につけることが性教育。たぶんみなさんが思っているそれって、子どもの作り方やプライベートゾーンの話など、ほんの一部のことなんです。根底となるのは、子どもの人権を尊重すること。性や体に関することで言うと、自分の体について知る権利や自分の体のことは自分で決める権利、自分の意思を表明する権利、安全にすごす権利など、が挙げられます。この権利は0歳でも同じ。これを尊重することがスタートなんです。「性教育」という言葉に刷り込まれた概念を取っ払って、ゼロから学んでみてください。
\夫婦の性教育ユニットに聞きました/
アクロストン
夫婦ともに医師として働きながら、性教育を広げるユニット〝アクロストン〟としても活躍。『10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック』(ほるぷ出版)など、著作も多数。https://acrosstone.jimdofree.com/
親と子どもにも境界がある。 体に触るときは声をかける
人と人の間には境界があって、それを越えるときには同意が必要。この境界と同意のことを暮らしの中で伝えていくことが一歩。たとえば、お風呂になかなか入らないからと力業で脱がせず、「脱がしていい?」と聞いてからなど、生活の細かいシーンでも同意を取ることを忘れずに。この積み重ねがお互いを尊重する意識に繋がっていきます。
夫婦として対等の関係でいるべき
どんなに子どもに言葉で伝えていても、両親が対等でないと説得力はありません。金銭的な部分や性格的な違いなど、いろいろ夫婦間にもあるとは思いますが、子どもはその姿を見て育ちます。ジェンダーギャップも多いからこそ、大人がその関係性にもがくことも大事。難しいけれど、当たり前なことを改めて夫婦で見つめ直してみて。
お互いを尊重できる 環境を整えてあげる
家庭の中での性教育で大切なのは、子どもと大人の関係性。子どもをひとりの人として尊重し、子どもも大人も対等である、というのが大前提。支配的にならないで、きちんと大人も「ごめんね」を言うとか、単純なことです。もちろん子どもの言いなりになるのではなく、意思を尊重して何でも話せる関係作りを心がけてみてください。
撮影/須藤敬一 モデル/カワゴエ・シェリー、タカギ・ルイ 取材・文/矢﨑 彩 編集/井上智明
*VERY2024年1月号「夫婦一緒にはじめる「0歳からの性教育」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。