仁科友里
こんにちは、ライターの仁科友里です。
結婚相手のことを「運命の人」といういい方をすることがありますよね。この文脈で使う“運命”とは「ロマンチック」とか「非凡」とほぼイコールの意味で使われていると考えていいでしょう。
たとえば、少女漫画では、子ども時代に恋心を抱いていた幼馴染(イケメンで、だいたい金持ちに成長している)と再会して恋に落ちたりします。約束したわけでもないのに、偶然に偶然が重なって、何度も出会ってしまう。こういう偶然を“運命”だと思っている女性は多いのではないでしょうか。
人生に“運命”があるかないかでいえば、私はあると思います。
が、ちょっと待って。婚活相談を受けている身からすると、この“運命”という言葉はときにみなさんを危険に陥れたり、婚活を邪魔したりする悪魔の言葉でもあるのです。
そこで、今日は「運命」について考えてみましょう。
結婚相手は運命で決まっているの?
結婚相手は運命で決まっているのかというポイントからです。
結婚における「運命」ってどういうこと?
まず理解しておいてほしいことは、運命の人と結婚するのではなく、結婚した人が運命の人ということです。
運命という言葉は、辞書によると「人間の力を超越して、人に幸・不幸を与える力」とあります。人智を超えた力ということかもしれません。
その「人間の力を超越したもの」を信じすぎている婚活中の女性にありがちなのが、運命を過信すること。以下、3パターンを挙げてみます。
(1)運命の相手と出会えたら、すべてはうまくいくと信じてしまう
自分から動かない(運命の相手は突然にあらわれるので、がつがつとした婚活は運命ではないと感じてしまう)。平成の真ん中あたりまでは、「男性が女性を誘うもの」という暗黙のルールがありましたが、男女平等教育を受けたみなさんの世代は「男だから誘う」という考え方をしません。その結果、男性がぐいぐい来ることもなく、何も起こらず、ただときだけが過ぎてしまいます。
(2)周囲に反対されるなど、波乱万丈な恋愛こそが運命だと信じてしまう
親や友だちなど近しい人が、どうも彼にいい感情を持っていないということがあります。親の意見が絶対だとはいいませんが、冷静に「なぜ反対されるのか」を考えてみてほしいのです。一般的に考えるのなら、何も理由がないのに反対されることは、あまりないと思います。しかし、運命論者は「こんなに好きなのに」と問題を棚上げし、「激しく反対されるほど、運命」とひとりで盛り上がってしまいます。
(3)王子さまみたいな男性から求愛されることが運命だと思っている
3つの中で、もっとも厄介な“運命病”だといえるでしょう。みなさんは婚活アプリなど、ネットで知り合った人と会うことに抵抗がない世代だと思いますが、それらで知り合う男性が「本当に独身なのか」「プロフィールが本当か」を出会った時点で調べる術はありません。中には既婚男性が登録していたり、勤務先や職業を偽っていたりすることはよくあります。
私が今まで婚活相談に乗ってきた中で、怪しいなと思ったプロフィールを挙げてみましょう。「親が〇〇社(有名企業)の重役」「国境なき医師団」「IT企業の社長」「元モデルもしくは元ジャニーズ」「ハーバード大学卒」「六本木ヒルズ在住」で、やはりウソでした。
逆の立場で考えてみてください。みなさんが上記のようなキラキラした人たちだったら、ネットで結婚相手を探すと思いますか? もちろん、本当にそういう人が混じっていないとは断言できませんが、あなたの今までの人生で聞いたことのない、そばにいないようなキラキラしたプロフィールの人に出会ったら、必ず名刺をもらうなどして、ウラを取る習慣をつけましょう。
「運命の人」は必ず結婚相手になるのか?
繰り返しになりますが、みなさんは心のどこかで「運命の人と出会えれば、うまくいく」と思っているのではないでしょうか。これは、逆にいうと「うまくいかないのは、運命ではないから仕方がない」と相手と向き合うのを避けてしまうことにもなりかねません。
結婚をするというのは、実はみなさんが考えているよりも、大変なことです。それは女性側の高望みとかそういった問題ではありません。
ひと組の男女が巡り合い、「一緒に生きていく」とお互いが決心し、協力してタイミングを合わせていくことは、はたで思うよりずっと難しいことなのです。
ですから、冒頭でもお話したとおり、運命の人と結婚するのではなく、結婚した人が運命の人です。何回も結婚している人は、それだけ運命の人がいるということです。