30代・40代の生理のお悩みや疑問に、人気産婦人科専門医がお答え! 今回は、生理と頭痛の関係について聞きました。
生理前〜生理中に、頭痛が起こるのはなぜ?
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30代・40代女性の、生理中の頭痛に関する「リアルな生理悩み&疑問」!
・「生理前のPMS期と生理中は、頭痛がつらい! 市販の頭痛薬を常に持っていて、しんどくなったら飲んでいます。頭痛外来では何ともなかったし、毎月、生理が終わりかけになるとスッキリするので、絶対に生理周期が関係していると思ってます。一体何が原因なんでしょうか?」
・「30代後半、生理直前〜生理開始日にときどきものすごい偏頭痛が来ます。たまに来るビッグウェーブが来た! やばい!と思ったときには時すでに遅し。耐えられずに寝込んでしまうことも。職場の先輩に相談したら、『分かるよ〜。それ40代半ばになると頻繁に来るよ。更年期と似た症状だよ』と言われ、早めの更年期?と不安になっています……」
医師がお答え!
【監修】
産婦人科医・神谷町WGレディースクリニック院長
尾西芳子先生
産婦人科医。日本赤十字社医療センター、済生会中津病院、都内クリニックで副院長を経て、2023年春、神谷町WGレディースクリニックを開業。すべての女性のかかりつけ医でありたいとの思いで日々診察を行う。わかりやすい解説で雑誌、テレビのコメンテーター、ドラマの医療監修などとしても活躍中。
排卵後〜生理までの頭痛は、プロスタグランジンが原因
「生理前や生理中の頭痛には、2種類の原因があります。排卵日後から生理が始まるまでの期間に頭痛が起こる場合は、プロスタグランジンが原因である可能性が高いです。
排卵の後、子宮では内膜がどんどん厚くなっていくのですが、この子宮内膜が増えると、内膜で作られるプロスタグランジンという物質も増加。プロスタグランジンは痛みを起こすため、頭痛が起こる人もいるのです。
プロスタグランジン=悪というイメージを持つ方も多いですが、プロスタグランジン自体は、胃の粘膜を保護したり、ウイルスや菌で風邪をひいた際に熱を出すことで体を守ってくれたり……と、体にとって必要なもの。ただ、毎月排卵後に頭痛に悩まされるのはつらいものですよね。低用量ピルを飲んで子宮内膜が厚くならないようにすることで、プロスタグランジンを減らすという対処法があります。そのほか、痛み止めの服用も有効です」
生理直前〜生理の始まりの偏頭痛は、女性ホルモンの変動が原因
「生理直前から生理の始まりにかけて起こる偏頭痛は、女性ホルモンの分泌量の変動が原因の可能性があります。
排卵後から生理前までは女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが増えるのですが、生理直前になるとそれら2種類のホルモンが一気に減少。ホルモンの変動が大きすぎるために、頭痛が起こる人がいるのです。
この時期の偏頭痛には片頭痛治療薬のほか、片頭痛予防薬、漢方薬の呉茱萸湯や当帰芍薬散などが有効とされています」
頭痛が起こる時期によって、考えられる原因は異なってくる模様。
取材・文/櫻木えみ