家事都合と私事都合の違いとは？ 使えるシーンなどを詳しく解説します

皆さんは「家事（かじ）都合」という言葉を聞いたことがありますか？会社を休む際の理由として家事都合という言葉はとても便利です。よく似た言い方に「私事（しじ）都合」がありますが、二つの言葉はどのように使い分けるのでしょうか？

本記事では、家事都合と私事都合の意味の違いを説明したうえで、家事都合の使い方や使えるシーンなどを詳しく解説していきます。家事都合の意味を知ることで、休暇を取る際の正しい使い方なども分かりますので、ぜひ参考にしてみてください。

家事都合とは、「自分の家庭の都合のため」という意味です。家事とあるので掃除や洗濯などの“家事”をイメージしますが、身内の慶弔に関する行事（法事など）はもちろん、家族や親戚の介護やなど、本人ではなく家族の事情で休む場合にも使います。子どもの保育園や学校の行事への参加、家族で出かけるといったプライベートな理由についても家事都合に当てはまります。

会社で休暇申請を取る際、「私用のため」「家庭の事情」と書いてもいいですが、家事都合の方が形式的な言い方でもあるため、休みの詳細を尋ねられにくいというメリットがあります。

家事都合とよく似た言い方に、私事都合という言葉があります。私事都合とは、「自分の都合のため」という意味であり、自分自身に関する事情で休暇を取得する際に使用する言葉です。具体的には、体調不良や通院のほか、旅行やコンサートや観劇などがこれに当てはまり、「プライベートで理由があって休みます」という意味になります。

こちらも家事都合と同様に形式的な言い方でもあるため、旅行に行くから休みたい場合など、上司に相談しにくいときに「私事都合」と書いて休暇申請してしまえば便利です。

家事都合と私事都合の違いは、「誰のためなのか」という点です。家事都合が「家族のため」という意味であるのに対し、私事都合は、「自分のため」という意味で使われます。

例えば、旅行を理由に休暇を申請する場合、家族で旅行をする場合は家事都合、恋人や友人と旅行する場合は私事都合という具合に使い分けられます。また、家族のために病院に行く場合は家事都合、体調不良の場合は自分のために休むことになるので、私事都合が適切です。休暇を取得する理由が家族のためなのか、自分のためなのかという点で考えてみると、判断しやすいでしょう。

では、家事都合の適切な使用シーンを見ていきましょう。家事都合という言葉に馴染みがない方だと、どのように使えばいいの？ と最初は使い方に戸惑うかもしれません。基本的に休暇を取得する際、家族のために使う場合は家事都合で問題ありません。

例えば、親の介護や通院補助、子どもの看護は家事都合に当たります。また、家族のために行う役所での手続きや、四十九日法要、一周忌などの法事も代表的な家事都合の一つとして挙げられます。

ただし、産前産後は、有給休暇とは別の労働基準法を定められているので、家事都合での有給休暇は認められません。産前産後休暇中は無給となりますが、加入している健康保険から給料の2/3分相当額の出産手当金を受け取ることができる場合がありますので確認しておきましょう。

家族のために休暇を申請する場合は、「家事都合で休みます」で問題ありませんが、冠婚葬祭のために休む場合は「慶弔休暇」として、休暇を取得できる会社も少なくありません。そのため冠婚葬祭の際は家事都合は使わず、ありのままの理由で休暇を申請するのがおすすめです。会社によっては「慶弔見舞金」が支給されることもあるので、まずは一度就業規則を確認してみましょう。

また、クライアントや社内に向けてメールなどで休暇を取ることを知らせる場合には、「〇月〇日は、家事都合により休ませていただきます」など、日程を入れておくとわかりやすいでしょう。会議や打ち合わせを欠席する際は「家事都合のため〇月〇日の△時からの会議は、欠席させていただきます」と時間も含めて丁寧に伝えられるとスマートです。

基本的に「自分のための」プライベートな休暇を取得する際は私事都合で問題ありません。自身の娯楽、友人や恋人との旅行、役所での手続き、病院への通院など様々用途で使用できます。その他、自身の用事や寝坊などでいつもより遅く出勤することがある場合や、退職の旨を伝える際にも使える言葉です。ただし当日いきなり私事都合で遅刻するのは周囲に迷惑がかかる可能性が高いため、私事都合を使う際は前日までに予定の分かっている遅刻に限定するとよいでしょう。また、退職する際も「一身上の都合により、退職させていただきます」と伝える方が丁寧な印象を与えますので、シチュエーションによって言葉を使い分けるようにしましょう。

その他、自身の用事や寝坊などでいつもより遅く出勤することがある場合や、退職の旨を伝える際にも使える言葉です。ただし当日いきなり私事都合で遅刻するのは周囲に迷惑がかかる可能性が高いため、私事都合を使う際は前日までに予定の分かっている遅刻に限定するとよいでしょう。

また、退職する際も「一身上の都合により、退職させていただきます」と伝える方が丁寧な印象を与えますので、シチュエーションによって言葉を使い分けるようにしましょう。

私事都合は、具体的に理由を言いたくない場合に便利な言葉です。寝坊をしてしまい、会社に遅刻理由を伝えることができない場合も、「私事都合のため、〇時に出勤いたします」といった使い方をすることができます。また休暇を申請する際も「私事都合により、〇月〇日は休暇をいただきます」と伝えることで、休暇理由を濁すことが可能です。

このように私事都合はとても便利な言葉ですが、その反面使い方を間違えると職場での不信感を煽ってしまうこともあります。私事都合を頻繁に使いすぎると、周囲はその理由を追求できないため、遅刻や欠勤の理由を言いたくないだけなのではと勘繰ってしまいます。そのため、頻繁に使うのは避けた方が賢明です。

また私事都合に会社での事情は含まれないので、会社からの指示で休む場合や出張の時などは、使うことができないので注意してくださいね。