今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「あの」、「え」
今週のさそり座は、「わたし」を超えた何かに突き動かされるのでなければ何か物足りないという感覚を大事にしていくような星回り。
誰かに話しかけるということ一つとってみても、声が自分のからだから離れて、相手のからだに伝わってはじめて、「ことば」は成立していく。しかし演出家の竹内敏晴は長年の演劇指導経験から、「話しかける」という日常的な行為においても、「私が真に私であるとき、私はすでに私ではない」のであり、「ただ生きて働いているからだがあるだけ」となる場合もあるというのです。
竹内によれば、そういう「からだ」とはすなわち「風の如きもの」であり「あるともないとも言えず、突如として」「巻き起こる」ものなのだとも述べています。
あなたもまた、「話しかける」ことをめぐる幾つかのレベルを意識しつつ、なまなましく「からだ」が働く感覚に近づいていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
心にまことを持つ
今週のいて座は、自分が狂うことができないのであれば意味がないのだと割り切っていこうとするような星回り。
『草矢すぐ落ちて人恋ひおろかなる』(鷲谷七菜子)という句のごとし。
「草矢(くさや)」とは、そのへんに生えている葦や薄の青葉を引きちぎって、指にはさんで矢のように投げること。ただ、掲句では飛ばした矢はすぐに落ちてしまい、その瞬間、まるで矢が心臓に食い込むかのようにますます思いが募ってしまったというのです。
あなたもまた、自分を愚かにしてくれるようなものの内にこそ、みずからを置いていきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
不自然さの解消
今週のやぎ座は、狭義の意味での仲間や家族といった概念の壁を崩していこうとするような星回り。
東北地方に伝わる馬と娘の悲恋にまつわるオシラサマ信仰に限らず、昔から日本では人間と動物は現代人が思っているよりもずっと近い存在として見なされてきましたが、同じアジア圏のエスキモーには、哺乳類ですらない「かにと結婚した女」という民話があります。
この異類婚姻譚について、小澤俊夫は「これは異類婚ですらないのかもしれない」という大変興味深い解釈を示しています。人間の娘とかにの結婚ではありますが、異類のあいだの結婚ではなく、同類としての人間とかにの結婚といった方がよく、その根底には「人間をほとんど動物と変わらないものとして考える思想」があったのではないかというのです。
あなたもまた、自分や人間をあくまで自然の中の一部として、あるいは動物の一種として見做してみることで、日常において何かとつきまとう不自然さを少しでも解消していくべし。