今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
だんだん飽きていく
今週のさそり座は、「人間的魅力の摩耗」を防ぐという観点から自身の生活を見直していこうとするような星回り。
精神科医の中井久夫は『世に棲む患者』のなかで、「病気をとおりぬけた人が世に棲む上で大事なのは、その人間的魅力を摩耗させないように配慮しつつ治療することであるように思う」と書いていました。
SNSを開けば誰かを貶めたりけなしたりする文言を見ない日はないような現代社会において、私たちがお互いに求めあっているのは、まさにこうした配慮なのではないでしょうか。
あなたもまた、ほどほどのロールモデルを再設定していきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
恩寵としての健忘
今週のいて座は、何気ない日常のなかにこそ未踏の領域を見出していこうとするような星回り。
『南浦和のダリヤを仮のあはれとす』(攝津幸彦)という句のごとし。おそらく、作者はかつての貴族的な典雅や風流などとは無縁な自身の暮らしぶりに、どこかで戸惑いと諦めとを抱いていたのだと思います。
それでも、どんなに形は変わっても、自分が現に生きている文脈や時代に即した「あはれ」があるのだという発見に、しずかに心震わせていたのかも知れません。
あなたもまた、どんな状況にあったとしても、自分には探求していきたいものがあるのだということを、改めて確認していくことになりそうです。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
逆さまになっていく
今週のやぎ座は、自身の非知や無関心を認め、意識のゼロポイントにまで立ち返ったり、逆に立ち返らせていこうとするような星回り。
古代ギリシャ哲学を代表する人物であるソクラテスの、執拗に相手に食い下がり、黙らざるを得ないところまで追い詰めていく問答スタイルについて、哲学者の古東哲明は「人間主義、つまりソフィスト(近代)の根幹」に対するアンチテーゼだったのだと言及しています。
ソクラテスの問答とは、「非知で、意識下の、不断に人間的理知や意志や対象化の作用から逃れていく」ようなリアリティへと沈黙ととともに連れ出していくための術だったのです。
あなたもまた、意識を呑み込む無意識的な位相へと、どれだけ自身のたましい=実存姿勢を向け変えていくことができるかが試されていきそうです。