isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2025年下半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
有用さより大事なもの
今週のおひつじ座は、精神の根にはびこった偶像(への崇拝根性)を破壊していこうとするような星回り。
思想家シオランは、幻影の破棄と新たな幻影を希求して書かれた『崩壊概論』の中で、古代最初の懐疑論者であり「事物の本性を知ることができない」という不可知論を唱えたピュロンと、やはり最古のトランスジェンダーで、稀な美貌と異常な求愛、過激な逸話で知られるローマ皇帝ヘリオガバルスを挙げています。
あらゆる精神は、何らかの形で自分がかかわる共同体の使命に隷従してしまうものですが、シオランはこの哲学者と古い征服者の末裔こそ、自身のふとした思いつきを知的訓練によって高めたり、眩暈のような狂気に至らしめることによって、しつこい偏執を殺害することに見事成功したのだと言います。
あなたもまた、そうした虚無の輝きに魅らせられた二人のように、ひとつの文明の死という大いなる芸術の実現を画策していくことになるでしょう。
今週のおうし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
内と外がつながっていく
今週のおうし座は、恐怖とも陶酔ともつかない解釈不能という体験を強いられていくような星回り。
『月光の象番にならぬかといふ』(飯島晴子)という句のごとし。
「~にならぬかといふ」という言い回しは、誰かが作者に語りかけている調子ですが、それが誰であるかも明かされていません。読者は暗がりに立ち尽くし、そこで見えぬ声に呼びかけられたかのよう感覚を受けるはず。そこにはまるで夢の中で、不条理な任務を突然命じられるときのような奇妙さがあります。
あなたの元にも、おそらくは思いがけない経路をたどって奇妙な任務がやってくるかも知れません。
今週のふたご座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
抵抗と不服従の心得
今週のふたご座は、「世に従わねば、いっそ楽」という境地に突き抜けていくための一歩を踏み出していこうとするような星回り。
鴨長明の『方丈記』は「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という冒頭の書きだしが、無常観の真髄を表したものとしてよく知られています。しかし作家の堀田善衛が『方丈私記』に書いているように、長明の生きた中世とは、泥棒まがいのことをしなければ出世できないばかりか、人を傷つけなければ生き延びることすらできなかったような恐るべき生活難の時代でした。
つまり、「無常」というのは高尚な理念や観念上の遊びでも何でもなく、実際的な問題としてその時代に生きるすべての者にすべからく突き付けられていた、ありのままの現実だったのです。
あなたもまた、「狂せる世に狂いまわるのではなく、大原にこもって理性を立ててみる」という長明がじつに五十歳にしてようやく到達した境地を、ひとつ参考にしてみるといいでしょう。