今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
変になにかが冴えてくる
今週のかに座は、受け身か自分主導かという二者択一の、どちらでもないような関わり方に導かれていくような星回り。
美学者の伊藤亜紗は『手の倫理』のなかで、触覚の倫理性ということを取りあげ、全盲の女性ランナーと目の見える伴走者との伴走体験を解説しています。
ここでは、一方が<主>で他方が<従>のような上下関係に基づく一方的な伝達によるコミュニケーションとは一線を画した、互いのやり取りのなかで物事の意味を作り出していくような「生成的」なコミュニケーションが生み出されているのだと。
あなたもまた、手を出すのが難しい状況でこそ、互いのする/されるが反転していくような「ふれあい」を追求していきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
己を空しく
今週のしし座は、自分なりの「平凡さ」へと改めて立ち返っていくような星回り。
『川を見るバナナの皮は手より落ち』(高浜虚子)という句のごとし。掲句の内容などは、空しくした屈折なしの観察の賜物と言えます。
そして、そういう句であればあるほど、頭の中でこしえらえた「俳句とはこんなものだろう」というありきたりな予定調和を突き崩すがゆえに、かえって身の上がひらけて、目が覚めたような思いをさせられていくのではないでしょうか。
あなたもまた、だんだんと目を覚めていくような気持ちになっていくはずです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
たゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆ
今週のおとめ座は、何より自分自身を寛がせる方法としての「儀式」を執り行っていこうとするような星回り。
宗教学者の上田紀行は『スリランカの悪魔祓い』で、孤独に陥りがちな現代日本人に、社会や人とのつながりや、何よりある種の儀式の重要性を問いかけています。
上田は右脳の働きの先にあるのは「大いなる同一性」としての「いのち」の感覚であり、「同一性に焦点が合わされたとき、そこには<つながりあったいのち>というもうひとつの世界が開けてくる」のだとも述べています。
あなたもまた、そうした「いのち」の感覚を滋養してみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
鼻をきかせて
今週のてんびん座は、懐かしくも新しいものの痕跡をたどっていこうとするような星回り。
『金魚屋のとどまるところ濡れにけり』(飴山實)という句のごとし。金魚を入れた桶を天秤棒でかついで、すこし間延びした声で道をゆく。それで客に呼び止められて桶をおろすときに、身体の揺れで水が少しこぼれるのです。
後にはただ、金魚売がいた痕跡として、わずかな濡れ痕がのこるばかり。それでも、子供なんかは鋭いので、濡れ痕を見ただけで「あっ、金魚売りが来てる!」と気付いて、あたりを探し回ったりしたものでした。
あなたもまた、これは「濡れ痕」だなと思えるものと出会ったら、嗅覚を鋭くきかせていきたいところです。