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季節の風をお菓子に乗せて届ける。駒澤大学の焼き菓子屋さん「POPPY」

文筆家・喫茶写真家の川口葉子さんが、「SHOZO CAFE」の姉妹店として誕生した「POPPY COFFEE and BAKERY」を紹介します。

喫茶ライターがナビゲート。遠くからでもわざわざ通いたくなる焼き菓子屋さん/POPPY COFFEE and BAKERY

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喫茶ライターの川口葉子です。本記事では、さりげない佇まいの中に記憶に残る香りや季節の風景を漂わせる焼き菓子屋さん「POPPY COFFEE and BAKERY(ポピー コーヒーアンドベーカリー)」をご紹介します。
栃木県の黒磯や那須にお店を構える「SHOZO CAFE(ショウゾウカフェ)」といえば、街そのものを輝かせるほど魅力的なカフェ文化を生みだしてきた歴史ある名店。東京・青山にも小さなコーヒーショップを構えています。
青山店を中心に働いていた松本海央さんが2022年夏、世田谷区弦巻に新しく開いた姉妹店がPOPPYです。「季節の風をお菓子にのせて届けたい」と松本さんが笑顔で語る焼き菓子の数々、どれをテイクアウトしましょうか。

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緑の多い、落ち着いた住宅街がひろがる弦巻通り。午前11時、POPPYの開店と同時に、風味豊かなお菓子を求めるお客さまがいそいそとやってきます。
古い木製のショーケースにはガレットやマフィン、スコーン、マドレーヌなど飾らない表情の焼き菓子が揃い、冷蔵ケースにはケーキやサバラン、ダコワーズなどが並びます。季節のアイスクリームも忘れずに注文を!小さなイートインか、外のベンチで楽しめます。
レシピは「ツルミ製菓」を主宰するパティシェ、鶴見昂さんが監修したものと、POPPYの製菓担当、石田香月さんのレシピとほぼ半々だそう。

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松本さんと石田さんにとって、パイ生地にアーモンドクリームと旬の果実をのせて焼き込んだ「季節のガレット」(580円)は、共に訪れたアメリカ・バークレーのレストラン「シェ・パニーズ」の記憶が香る一品です。
自然と調和した暮らしと食文化を提唱する先駆的存在として名高いシェ・パニーズ。石田さんは「“こんな夢みたいなレストランがあるんだ”とずっと憧れていたので、実際にシェ・パニーズに行ってお料理が運ばれてくると、涙が込み上げるくらい感動しました。デザートに出てきた大きなガレットに、夏らしくプラムがきれいに並んでいたのも印象的でした」と、目を輝かせます。
松本さんに誘われてPOPPYを始めるにあたり、「あのガレットをつくりたいね」で意見が一致。POPPYではお持ち帰りしやすい手のひらサイズにして、巡る季節の恵みをたっぷり焼き込んでいます。9月半ばのこの日は、プルーン、プラム、リンゴの3種類が彩りも美しく並んでいました。

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浅煎りの「コーヒー」(500円)と共にいただいたプラムのガレットは、サクッとした小麦粉の香ばしさとアーモンドクリームの甘さに、プラムの酸味がさわやか。オーナーの菊地省三さんがきれいな後味を大切にして焙煎するコーヒーにもよく合い、バークレーの街角の風景と共に、SHOZO CAFEがある那須の高原の風景が浮かんできます。
誘惑に抗えずにイチジクのアイスクリームも注文し、深みのあるおいしさを堪能しました。夏は桃とミルクのアイスクリームも人気です。

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さらにもう一品追加したのは、可憐な花型の「ピスタチオのフラワーダコワーズ」(450円)。1枚ずつ均等に並んだ丸い花びらに、石田さんたちスタッフの丹念な仕事がうかがえます。
「私のお菓子はざっくりした感じのものが多く、小麦粉の風味をいかすよう心がけています」と石田さん。
「たまたま出会った北海道・洞爺の小さな農家さんが作っている小麦粉が風味豊かで大好きなので、可能であれば全商品に使いたいのですが、安定した供給が難しいため一部商品に使わせていただいています」
フルーツは各地の旬のもの。ガレットを彩る赤ルバーブは福島の島田農園産、スクエアタルトなどの焼き菓子に使うルバーブは、松本さんの祖母の手により那須で育てられています。
この場所は、元は30年続いたお菓子屋さんで、POPPYでは元々あった厨房のオーブンなどを譲り受けて使っているとのこと。

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店名のPOPPYは、壁に飾られた明るいポピーの絵(写真右)から。この絵は、小池アミイゴさんによるもの。松本さんは小池さんの絵が好きで展示会にも足を運んでおり、また小池さんはSHOZO CAFEのお客さまでもありました。
「コロナ禍の頃にこの絵に出会い、眺めているだけで元気なエネルギーをもらえたのです。このお店もそんな存在になれたらと思っています」

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お話をうかがっている間にも、常連さんらしき人々がやってきてはスタッフと楽しげに挨拶を交わし、お菓子を抱えて帰っていきます。
SHOZO CAFEのように、遠くからでもわざわざ通いたくなるPOPPY。駒沢公園の周辺や松陰神社前の散策を楽しむ日にはぜひお立ち寄りください。ちなみに、渋谷駅から「渋05 弦巻営業所」行きのバスに乗り、「駒沢中学校」で下車すれば徒歩2分です。

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※本記事内の情報は2024年10月25日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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