今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
仮面を取る
今週のかに座は、自分の誤りや限界について素直に認められるような関わりを持っていこうとするような星回り。
ドイツ出身の精神科医フリーダ・フロム=ライヒマンは主著『積極的心理療法―その理論と技法』の中で、「治療者は中立ではありえない」し、治療過程に巻き込まれながら観察し、関わりながら観察するしかないのだという考え方を表明しました。
「精神科医の人格とその専門的能力の基本として要求されるのは、なんであろうか。この問題に一言で答えようとすれば、それは「精神科医は少なくとも他人のいうことに心から耳を傾けうる人間でなければならない」ということになる。」
あなたもまた、魔法のような力を持つのでも、誤りのない存在であろうとするのでもなく、ただ向き合う人に対して正直で、率直であれるよう心がけていきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
こちらを見ている誰かがいる
今週のしし座は、自分以上に特別な存在がほんのり立ち上がっていくような星回り。
『バカだなと目が言うホットウイスキー』(火箱ひろ)という句のごとし。
この句の場面は、遠く離れたところにいるか、少なくとも物理的に目の前にはいない大切な誰かのことを思い浮かべての想像上の対話であり、そこに集中して豊かな孤独に浸っている人間の姿なのかも知れません。
あなたもまた、自分以上に特別な存在である誰か何かへ全集中していきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
リズムで耕す
今週のおとめ座は、計画性と無計画性のちょうどいい塩梅を自分なりに探っていこうとするような星回り。
例えば、「ミニマル・ミュージック」を提唱する現代作曲家のひとりジョン・アダムズは、2010年に行われたインタビューの中で「僕の経験からいうと、本当に創造的な人々の仕事の習慣はきわめて平凡で、とくにおもしろいところはない」「基本的に、なんでも規則正しくやれば、創作上の壁にぶちあたったり、ひどいスランプに陥ったりすることはないと思っている」と断言しています(『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』)。
一方で、「必要以上に計画的にしないように」とも忠告しており、ときには「あきれるほど無責任な状態にいる必要」もあるのだとも述べていますが、おそらくこの計画性と無計画性、必然性と偶然性の絶妙な塩梅こそが、創造性の秘密なのではないでしょうか。
あなたもまた、ごく普通の体験をこそ規則正しく耕しつつも、ときに気ままに発展させていくことを大切にしていきたいところです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いびつでいいじゃない
今週のてんびん座は、一般受けなどしなくても独自の路線を突き進んでいこうとするような星回り。
『狐火や髑髏に雨のたまる夜に』(与謝蕪村)という句のごとし。寒さの凍える冬夜の山野の闇のなかで、狐火が燃えている光景を見ていると、浮かばれない死者の残留思念や社会のはぐれ者たちの怨念がそこらを浮遊しているような気になって、気持ちが陰陰滅滅としてくるのだが…と。大意としてはそんなところでしょう。
作者はどこかでこうした怪奇的な世界を愛していたし、だからこそそれを誰かと共有し、後の世にも遺そうとしたのではないでしょうか。
あなたもまた、誰かの要望に応えることよりも、自分の好きや趣味をこそ最優先していくべし。