迷宮入りして答えが出なくても
答えの出ないことをいつまでも悩んでいても仕方ない。そんなことは分かっていても、ぐるぐると考えてしまう時は誰にだってある。頭では前向きに考えるようにしても、いつのまにか感情が引っ張られてしまい情けなく感じる。
そんな風に、理不尽な出来事や不遇な境遇に直面した時や、上手く行かなくて悩んでいる時になかなか気持ちが切り替えられずに悩む人に対してアドバイスを求めると、のんさんは「難しいですよね」と気持ちを慮りながらも、こうアドバイスをくれた。
「自分が上手くいかないなって思っている時って、結構迷宮入りして答えがでないものだと思うし、歯痒くて焦っちゃうんですけど、ちょっと待って時間が経ってみると、『なんだ、こういうことだったのか』と分かる時が来ると思うんです。
そのうち自分のスキル、生き方、やり方みたいなものが追いついて、たやすくできるようになっていたりするし、悩んだ先に、答えが待っていることがある。だから今、うまくいかなくても焦るんじゃなくて、“今は上手くいかない自分なんだ”って思って一回置いとく。そうやって寝かせることも大事かなって」
上手くいかない時は辛い。辛いからこそ、早くその現状を打破したくて焦ってしまう。けれど、そうやって悩み、考え、試行錯誤することも楽しめれば、いつの間にか楽しんだことがメインになっていくと、のんさんは教えてくれた。
「未だに私もどうしたらいいんだろうってなりますけど、本当にどうにもならない時は、自分をもう全肯定してくれる周りの人に、人を選んで助けを求めるのがいいかなと思います」
悩んでも悩んでも答えが出ない時は、今はそういう時なのだと納得させる。挫けそうになった時は人に素直に助けを求める。複雑に考えてしまいがちな自分の中の大きな悩みこそ、シンプルに考えることができれば、のんさんが言うように、いつのまにか自分のスキル、生き方、やり方みたいなものが追いついて、人生は生きやすくなっていくのだろう。
『私にふさわしいホテル』
新人賞を受賞したものの、大御所作家・東十条宗典の酷評により、華々しいデビューを飾ることなく、小説を発表する場も得られなかった不遇な新人作家・加代子。この恨み、晴らさでおくべきか——。そう決意しながら憧れの「山の上ホテル」に宿泊する加代子の部屋の上階に泊まっていたのは……なんと東十条だった!
大学時代の先輩で編集者の遠藤の手引きによって東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を見事落とさせる。だがここからが加代子の更なる不遇と試練の始まりだった……。
加代子 VS東十条の因縁の対決は、誰にも予想できない方向へと突き進んでいく!
果たして加代子は文壇に返り咲き、作家としての道を歩むことができるのか!?
2024年12月27日(金)全国ロードショー
配給:日活/KDDI
©2012 柚木麻子/新潮社 ©2024「私にふさわしいホテル」製作委員会
※この記事は2024年12月27日に公開されたものです