今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
役に立たないようがんばる
今週のかに座は、最も根本的な強迫観念としての「経済成長」から自由になっていこうとするような星回り。
現代のような経済の時代においては、軍事は経済と密接に結びついており、直接的に兵士として国のために戦うのでなくても、国家間のGDP競争が国民一人ひとりの所得にまで影響してきます。
こうした段階においては「自分の給料なんてどうでもいいから、とにかく国のやることには反対」なんてことはとても言えない。つまり、現代というのは反国家主義などということはそもそも成立しえない時代なのだということです。
あなたもまた、自分の属する社会や時代を相対化して見ることで、思い込みから抜け出していきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
愚者の困難
今週のしし座は、心にうずまく皮肉や批判を、できるかぎり敬意と羨望へとひっくり返していこうとするような星回り。
『亀鳴くや皆愚かなる村のもの』(高浜虚子)という句のごとし。
彼らは文字通り「愚か」なのではなく、つまらない理屈で整えられた世界よりも不可解な自然をそのまま受け入れる道を選んだ一群の風流人なのです。「亀が鳴く」という不思議な春の実感に、誰もが目を細めて耳を澄ませる「村のものたち」。作者のまなざしは、そうした人びとへの敬意と羨望に満ちているように感じられます。
あなたもまた、いい意味で「愚かだな」と思える人たちと積極的に関わっていきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
遊びをせんとや
今週のおとめ座は、自分がコントロールできないものを、一定の枠やルールの中で渡りをつけていこうとするような星回り。
日本の伝統的なボードゲームである「双六(すごろく)」は、勝敗やプロセスなどすべてがサイコロのもたらす偶然によって決まっていくという意味で、大人の都合とか世間の常識とか忖度や駆け引きなどはいっさい通用しません。
そのため、中世社会では双六打ちと巫女は、「純粋に神意を問う者」という点で職業的に似た者同士とされていましたし、サイコロを振ることそれ自体に現代よりずっと神聖な意味合いが与えられていました。
あなたもまた、そうした「ままならなさ」の感覚をすすんで磨いていくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
不思議とともに五月くる
今週のてんびん座は、抑圧や重苦しさを乗り越えて、新たな自分に出会っていくような星回り。
『天空の鏡を割りて五月くる』(辻美奈子)という句のごとし。
五月――それは新緑が躍動し、風が若さを運び、命がひかる月。「くる」という語の力強さと柔らかさが、「割る」という激しい動詞に続くことで、破壊の後にある生の肯定がぐっと立ち上がってくるようでもあります。
あなたもまた、新たな自己へのめざめや自由な息吹を存分に感じていくことができるでしょう。