今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
おーい、おーい
今週のかに座は、新たな「心の種」が芽を出し、成長していくさまを見守っていこうとするような星回り。
以前、『仏教』という雑誌で、宗教学者の上田閑照と心理学者の河合隼雄が「宗教と癒し」というテーマで対談した際に、上田は少年たちに三本指を立てて合図する老人を紹介していました。
上田はこの体験を振り返って、その日一日、ある至福の感情に包まれて幸福であったといいます。これは言葉を介さない禅問答のようであると同時に、未知の宇宙人と遭遇したときに心のこもった挨拶ができたとしたら、おそらくこんな風になるのではないかと思えるような、ある種の密なコミュニケーションなのだと言えます。
あなたもまた、内なる子供を全面に出してやり取りに興じていきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自分を支える根源的な何か
今週のしし座は、暗く豊穣な無言のメッセージを受け取ったり、発したりしていくような星回り。
『衣更鼻たれ餓鬼のよく育つ』(石橋秀野)という句のごとし。作者は病魔に勝てずこの年のうちに亡くなってしまいますから、なおさら子がよく育つことそれ自体が、母として子に未来への願いを託すことであり、自分の存在証明でもあったはず。
つまり、この句は見た目のユーモラスさに奥に、母親としての慈しみ、苦しみ、今わの際での願いといった多層的な感情と無言のメッセージが込められていたわけです。
あなたもまた、自分の存在に先がけて発された複雑な想いに何かと触発されていきやすいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
稀代の反復魔
今週のおとめ座は、人は生き続けるためにときに食物より物語を必要とするということを肌で実感していくような星回り。
話好きの老人が、同じ思い出話を繰り返し語っている光景を目にしたことのある人は少なくないでしょう。医学的には「脳の老化」を意味するこの現象において不思議なのは、彼らが心から楽しんでそれをやっているように見えるところではないでしょうか。
これは、子どもはなぜ同じ絵本を繰り返し読んでとせがみ、何度も同じ話を聞きたがるのか、という疑問とセットになっているように思います。
あなたもまた、オリジナルを弱弱しいものにしてしまう「再現」とは全く異なる「反復」の力をおのれにしかと刻んでいくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ひょいと、すっぽり
今週のてんびん座は、オンとオフの切り替えをはっきりつけて思いきり羽目を外していこうとするような星回り。
『燈(ひ)を消して蛙聴くべしうきうきす』(石塚友二)という句のごとし。
この句の肝は前半の文語調から後半の口語調への突然の転換から生まれる緊張と緩和、そして「聴くべし」という強い断定を受けての「うきうきす」という表現にあり、まるで少年少女にかえったような等身大の心のはずみが見えるはず。
あなたもまた、ひょいと「暗がり」に入りこんで、身も心も思いきりはずませていきたいところです。