今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
凄いバグを求めて
今週のかに座は、新たに設置され始めた異界の入口に目ざとく反応していこうとするような星回り。
評論家の大塚英志は、主に1980年代以降のファミコン・ブームについて、その原動力となったのは「ファミコン世界の疑似現実」などではなく、プレイヤーたちがゲームソフトに仕掛けられた「バグ探し=バグ攻略」に情熱を燃やしたからだと述べていました。
2025年のいま、改めてこの言説は家庭用ゲーム機の文脈ではなく、生成AIとの関わりにおいてあてはめることができるように感じます。
あなたもまた、予測不可能なバグの魅力におのずと魅かれていきやすいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
厳かな配役変更
今週のしし座は、新たな配役にチャレンジする俳優が初心に返って現場入りしていくような星回り。
『即興の雨をパセリとして過ごす』(小津夜景)という句のごとし。
パセリは特別人に好かれようとはしないが、嫌われるような真似もしない。それどころか、ちょっとした引き立て役を引き受けたり、誰か何かのすき間を埋めるような動きをさりげなくしてくれる。
あなたもまた、いっそパセリの中のパセリをめざして、恬淡とその役回りを果たしていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
一億総幻想時代にて
今週のおとめ座は、悪い意味で必然で不可避とされていることを、ただの偶然であると証していこうとするような星回り。
現実のあらゆる面で勝ち負けがつけられ、日夜それがSNSでネタにされ煽られるようになった現代社会では、ほとんどの人が何かしらの点でケチがついており、したがってろくに傷を負っていない人などまず存在しえないでしょう。
その意味で、いま私たちは万人が幻想を生きたがる時代に生きているのだと言えますが、イギリスの批評家マーク・フィッシャーは、こうしたグローバル資本主義にすっかり包み込まれた現代人が陥っている事態を「再帰的無能感」と名付けました。
あなたもまた、自分が最も限定してしまっている可能性は何なのかというところから、根深い無能感を払拭する道すじを探ってみるべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
不信の起源をたどる
今週のてんびん座は、これまで棚上げにしていた問題に不意に直面していくような星回り。
『復活を半ばは信ず蠛(まくなぎ)立ち』(平畑静塔)という句のごとし。作者は精神病院の院長であり、カトリック信者でもあった人。聖書に基づいて、キリスト教ではイエスは日曜日の朝早くに十字架の死から復活されたという教えを大切にしていますが、それに対し「半ばは信じる」と言っているのです。
ずいぶん率直な信仰告白ですが、だからこそ本人の近代人としての懐疑と信仰への希求との間で揺れる悩み深さが、よく表れているように感じます。
あなたもまた、だんだん信じられるようになってきたものや相手が改めて浮き彫りになってくるはず。