今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
裏と表を縫い付ける
今週のさそり座は、詩的なるものとしての言語の使い道を模索していこうとするような星回り。
ルソーが晩年に書いた『言語起源論』の中で、原初の人間たちは、私たちがいま日常的に使っている言語とも0と1からなるコンピューター言語とも異なり、詩と音楽によって互いに語り合っていたのだと書きましたが、現代の詩人で著述家のエリザベス・シューエルはそうした言語を「オルフェウスの声」と呼んでいます(『オルフェウスの声』)。
シューエルはこのオルフェウス神話こそ、ばらばらに分断された世界を統合する“詩の力”に重ねあわせることができるのだと考え、それを「陳述であり、問いであり、そして方法でもある」のだと述べました。
あなたもまた、ばらばらになったパズルのピースを根気強く繋ぎ合わせていくかのように、みずからの発する声にオルフェウスを降ろしてみるといいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
聖なる、どうなる
今週のいて座は、望む出会いを求めてどこまでも歩いていこうとするような星回り。
『郭公や何処までゆかば人に逢はむ』(臼田亜浪)という句のごとし。
作者は旅先で誰とも言葉を交わさぬ日が続いた後の早朝あたりに、野山の静寂から不意に郭公の鳴き声が響いてきたのを聞いて、思わず人恋しさで胸が張り裂けんばかりになったのでしょう。興味深いのは、この句が旅から10年後に詠んだ回想句であるということ。
あなたもまた、熟慮することと同じくらい、いやそれ以上に求愛することに真剣に取り組んでいくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ちょっとしたゲームを
今週のやぎ座は、みずからの創造過程に誰かを参与させたり、自分から誰かのそれに参与したりしていこうとするような星回り。
20世紀の美術に決定的な影響をもたらしたマルセル・デュシャンは、画家として出発したが20代のうちに油絵の制作をやめて、「現代アート」の走りのような作品を発表した後、30代半ばにはアート自体を放棄してチェスに熱中し、フランスを代表するチェス・プレイヤーになったことで知られています。
しかし、これはいささか「芸術を捨てた芸術家」として神話化されすぎていて、実際には少年期に絵画とチェスを同時に始め、その2つの活動はつねに継続され、結果的にチェスだけが生涯を通じて途切れることなくプレイされていただけだったように思います。
あなたもまた、改めて自分が見たいアート/ゲームとは何で、興じたいと思えないそれは何なのかということを明確にしていきたいところです。