精神科で外来を行い、6万人以上インスタやvoicyのフォロワーに対してHSP気質に関する発信、書籍刊行など幅広い分野で活動する精神科医しょうさんが、HSPやメンタルヘルスに関する身近なギモンを解説。生きづらいをラクにするためのヒントを連載形式で紹介します。
こんにちは。精神科医のしょうです。「ちゃんと寝ているはずなのに、なんだか疲れが取れない」そんなふうに感じること、ありませんか?実は、春から初夏にかけては、知らず知らずのうちに睡眠の質が下がりやすい季節でもあるんです。そしてその原因は、意外にも普段の生活習慣の中に潜んでいることが多いんですね。今回は、春〜初夏に睡眠の質が低下しやすくなる理由と、ついやりがちな落とし穴習慣についてお話ししていきます。もしかしたら、あなたの毎日の中にも当てはまることがあるかもしれません。
なぜ春〜初夏は眠りが浅くなるの?
① 朝晩と日中の寒暖差
この時期は1年の中でも寒暖差が大きい季節です。そして寒暖差に影響を受けやすいのが、体内リズムを支える自律神経(交感神経と副交感神経)。この自律神経のバランスが乱れると、体内リズムが崩れ、夜になっても「寝つきが悪い」「途中で目が覚める」といった睡眠の質の低下につながってしまいます。
② 日照時間の変化
春から初夏にかけて急に日が長くなるのも、体にとっては変化のひとつ。体内時計のリズムに関わる「メラトニン(睡眠ホルモン)」の分泌バランスが崩れやすくなり、結果的に睡眠の質が下がってしまうケースも珍しくありません。
③ 新年度の疲れが出やすい時期
4月以降は、新しい環境や人間関係の変化が重なりやすい時期。無意識のうちに気を張り続け、知らない間にストレスが蓄積してしまっている方も多いはずです。そしてそのストレスが、自律神経の乱れや睡眠トラブルにつながることも。
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気づかぬうちにやってるかも?睡眠の落とし穴3つ
こうした季節特有の変化に体が影響を受けやすい春から初夏。だからこそ、「睡眠の質を下げる落とし穴習慣」を少し見直すことが、心地よい眠りへの第一歩になります。
① 寝る直前までスマホやパソコンを見ている
ベッドに入ってからSNSや動画をチェックする…ついやってしまいがちですよね。しかし、スマホやパソコンのブルーライトは、メラトニンの分泌を妨げてしまうため、寝つきが悪くなる原因だと言われています。とくに春はメラトニンのリズムが崩れやすい時期なので、影響を受けやすくなります。まずは寝る30分前からスマホを手放す意識をしてみましょう。それだけでも、眠りの質は少しずつ変わってきます。
② シャワーだけで済ませてしまう
「もう暑くなってきたし、お風呂はシャワーだけで…」そんな気分になる日も増えてきますよね。でも実は、お風呂にしっかりつかることが、自律神経のバランスを整える大切な習慣。ぬるめのお湯に10〜15分つかることで、副交感神経が優位になり、心も体もリラックス状態に切り替わりやすくなるんですね。寒暖差で自律神経が乱れやすいこの季節だからこそ、お風呂に入ることでストレスもやわらぎ、自然な眠気が訪れやすくなります。
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③ 朝ギリギリまで寝てしまう
「疲れているし、少しでも長く寝たい」春はそんな気分になりやすいですよね。その気持ちはとてもよく分かります。でも、体内時計を整えるカギは「朝の光」にあります。なぜなら朝の光を浴びることで、メラトニンのリズムが整い、夜の自然な眠気が生まれやすくなるからなんですね。お仕事や家事で忙しい方でも、5分だけでも早起きして、窓辺やベランダで朝日を浴びる習慣を取り入れてみましょう。それだけで睡眠のリズムが整いやすくなりますよ
春から初夏にかけての季節の変わり目は、体も心も知らず知らずのうちにがんばっています。だからこそ、ついしてしまいがちな生活習慣を見直すことが、心地よい眠りへの第一歩。今夜から、小さなひと工夫で、心地よい眠りを取り戻していきましょう。