昇進を望まなくなる原因のひとつに、日本ならではの「男女の役割分担」もあるでしょう。
例えば日本の女性、特に母親になった女性は、働いていても毎日ごはんをきちんと作るのを期待されている感があります。食卓にはおかずが何品も並び、子どものお弁当にも栄養バランスと彩りを考え、中にはプロ顔負けのデコ弁やキャラ弁を作る人もいる。働く女性がここまでごはん作りに努力する国が他にあるだろうか、いや、ない(あったらスミマセン)。
私がかつて住んでいたドイツでは、子どものお弁当はチーズやハムをはさんだパンとリンゴ、なんてのが普通。タイや台湾の都市部では、共働きが多く、暑いので家で火を使うのを避けたい、そもそもキッチンがない物件が多いなどの背景もあり、ごはんは屋台で食べたり買って帰ったりする人が多い。そしてドイツもタイも台湾も、女性の管理職比率が日本よりはるかに高いです。
日本も夏は猛暑だし、共稼ぎも今や7割に上るのだから、そろそろ手作り至上主義の呪縛から開放されてもいいのでは? 手作りするも良し、しないも良し、半々も良し、の社会になったら、つまり働く女性が外食やテイクアウトに罪悪感を抱かずに済む社会になったら、「昇進してもいいかも」と思う女性はかなり増えるんじゃないかと私は踏んでいます。空いた分の時間を子供と過ごす時間や趣味の時間にも充てられますよね(もちろん好きで料理している人はいいのですよ!)。
あとは、共働きで稼ぎが同じくらいであっても女性の方が家事・育児負担率が高くなりがちなこと。また、これは男女問わずですが、コメントにも多くあったように、役職が上がって責任が増えても報酬はさほど上がらない企業が多いことなども、昇進欲を阻む要因ですよね。
前者は、少しずつではあるものの変わってきてはいると思います。後者は、行政とも連携した上での改善を期待したいです。出世は責任が増えるから嫌、という人でも納得できる報酬が出るなら心が動くものだと思うので。
もちろん、昇進を望むも望まないも自由。人生で何を優先したいかは人それぞれで、それは他人がどうこう言えることではないですよね。
どちらを選ぶにせよ、「私はこっちがいいな」と思った時に、自分ではどうにもできない障害が減っていってほしいなと思います。前向きな気持ちを失わず、今日も頑張っていきましょう!
(文:ヨダエリ、イラスト:フルカワチヒロ)
※画像はイメージです。
※マイナビウーマン調べ
調査日時:2025年4月18日~5月16日
調査人数:会社員、公務員、団体職員の20代~30代女性(139名)
参考
※1 男女共同参画局 男女共同参画白書 令和4年版 第4節 経済分野
※2 株式会社あしたのチーム「出世に関する意識調査」
※この記事は2025年06月04日に公開されたものです