―なるほど、そうですよね。ちなみに器に関しては何からトライするべきですか?
三瓶 器は家具に比べたら買いやすいお値段のものが多いですが、大きいお皿だとそこそこ冒険だと思うので、まずは大きさも価格もちょうどいいマグカップやグラスから取り入れてみては。
魚地 お皿よりもカップのほうが頻度高く使いそうだし、直接肌に触れるものだから、より愛着がわきそう。
三瓶 好きな作家さんが見つかると、器を見るのがより楽しくなると思います。僕は個展に行ったことで二階堂明弘さんのファンになったので、読者の皆さんもアンテナを張ってぜひ、そういう出会いを見つけてほしい!
魚地 作家さんはSNSをやっている方が多いから個展の情報を得るのは意外と簡単だよね。気になる個展が近くで開催されていたら、ぜひ気軽に行ってみるべき。そして人気の作品はすぐに売り切れてしまうから、必ず初日に行ってください!
津坂陽介さんの グラス/三瓶さん私物
「アスティエ・ド・ヴィラッ ト」のカップ&ソー サー/三瓶さん私物
「アスティエのカップは初心者にもおすすめ」(三瓶さん)
三瓶 グリーンもおしゃれな人の家には必ずあるイメージですが、僕、虫が苦手なので、部屋に置けないのが悩みなんですよね。
須藤 虫が気になる人はポトスとかアイビーみたいに水だけで育てられる水耕栽培の植物を置くのがいいかもしれない。透明な花器に入れたら根の部分もカッコよく見せられるし、成長がスローペースだから育てるのもラク。
―園芸初心者にもぴったりですね。忙しくて枯らしてしまう人もいるので。
須藤 植物も家具のように見た目で選びたくなるけど、果たして自分の部屋に適した性質なのか、耐陰性や耐寒性を把握しておくことも大事。
―須藤さんのご自宅は、インテリアに温かみのある北欧らしさが見え隠れしますね。
須藤 北欧のインテリアは「アルヴァ・アアルト」の名作スツールも含め、ほかにはないポップな色使いが魅力なんだよね。さっき魚地君がポータブルランプの話をしていたけど、僕は「アンドトラディション」のフラワーポットを推したい。
Flower pot VP9 各¥39600/林物産(アンドトラディション)
「鮮やかでチャーミングなフォルムがまさに好み」(須藤さん)
魚地 おお、カラフルですね。
須藤 我が家はミニマルな魚地家とは真逆で、物が多くてにぎにぎしているんだけど、もしこっち方向を目指すなら、思いきってポップなカラーアイテムを取り入れてみるのもありだと思う。それを起点に「次はこれを置こう」「あれを並べよう」と家具や植物を足し引きしながら、徐々に調和させていくのも意外と楽しくておすすめです。
アルヴァ・アアルト ヴィンテージ チェ ア65¥110000/北欧家具talo
自分の“好き”を見つけることがセンスアップへの近道
―最後に、センスを磨くために皆さんは何が必要だと思われますか?
三瓶 審美眼って自分らしさを確立することで磨かれると思うので、まずはインテリアに限らず、自分の“好き”をちゃんと知ることが大事かと思います。
魚地 自分の基準を持っていないと、どこかで絶対にブレるよね。「好きなインテリアがわからない」という人は、とにかくお店にたくさん足を運んで、色々なものを見ることから始めたらいいと思う。必ず“好き”が見つかるはずだから。
須藤 自分の好きなものが見えてきたら、センスはあとからついてくるんじゃない? 他人の目線に惑わされず、自分が心地よくいられる空間をつくったほうが絶対に幸せだと思います。
イラスト/蔵元あかり 取材・原文/野崎久実子 ※BAILA2025年8・9月合併号掲載