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「子ども産んだほうがいいよ」がセクハラな理由

ライフスタイル

アラサー女子を困らせる人はこの世にたくさんいます。セクハラ、パワハラ、マウンティング、毒親……。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」なんてことわざもありますが、女子のほうが敵多くない? そこでこの連載ではアルテイシアさんに、困らせてくる人々に立ち向かう知恵を授けてもらうことにしました!

アルテイシア

セクハラ女子亜種「お見合いおばさん」撃退法

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善意ハラスメントとして「やたらとくっつけたがる、お見合いおばさん的な女性」の例も寄せられた。

フリーの男女がいると「2人、付き合っちゃえば?」とけしかけたり、「独身の男の子、紹介しようか?」と斡旋してきたり、「この子、彼氏いないんだけどどう?」と勝手に推薦されたり。

これも先方はよかれと思ってやっているので、「余計なお世話ですよ」とは言いづらい。しかも普段は面倒見のいいやさしい先輩だったりもする。

この場合も、ビックリ返しや明菜返しが応用できる。
または「私、恋心の導火線がしけってて」と返すのもアリだ。「めったに人を好きにならないし、恋愛欲求が低いんですよ」と説明して「だから余計な世話は焼くな」と言外にアピールしよう。

それでも「一生ひとりは寂しいでしょ? 結婚したほうがいいわよ」とかぶせてくるのは、さすがにお節介が過ぎる。

そんな相手には「彼氏いますよ、別の次元に」と推しについて強火で語ろう。「どこがそんなに好きなの?」と聞かれたら「オウフwww いわゆるストレートな質問キタコレですねwww」とカレー沢返し(※)を華麗にキメてほしい。

(※カレー沢返し/『非リア王』等の著作で大人気の作家、カレー沢薫先生のお得意のセリフ)

おっさんのフリ見て我がフリなおせ

ゲイの知人男性は、男の上司から「あとは嫁さんもらうだけだな」と圧をかけられ、女の先輩から「彼女いないの? イケメンなのにもったいない」「普通に彼女いそうなのに、なんで? 誰か紹介しようか?」とやいやい言われて「マジでウザい」と嘆いていた。

目の前の相手が異性愛者とは限らないし、恋愛や結婚を求めているとも限らない。ひとりでも楽しく生きていける、完全生命体タイプもいる。そういう多様性を無視して「○○が普通」「○○するべき」と型を押しつけることから、ハラスメントは生まれる。

私は「おっさんのフリ見て我がフリなおせ」を標語にしているが、女だからこそやらかしがちな例もある。

「職場で女性の同僚がマッチョバーに行った話をして、『ムッキムキの乳を揉めるのよ!!』と大声で叫んでいた」という話を聞いて「それはやっちまうな、私も」と自戒した。

男がやったらアウトなことは、女がやってもダメなのだ。でもついうっかり「女だから、女同士だからOK」と気がゆるむときがある。そんなときは「今仕事中だから、その話はあとで」と注意して、正気に戻してあげよう。

腐女子の友人は「私も『ドSな年下攻めの結腸開発によるヤンチャ受け快楽堕ちシチュがどちゃシコ!』とかつい言っちゃいます」と反省していた。

それをツイッターや女子会で開陳するのはOKだが、オフィスのど真ん中で「どちゃシコ!」と叫ぶのはNGである。下ネタが悪いわけではなく、「TPOをわきまえろ」「公道をフリチンで歩くな」という話なのだ。

と、過去の自分に説教したい(砂浜に首だけ出して縦に埋めながら)

「名誉男性」によるセクハラの助長

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20代の私は呼吸するように下ネタを吐いていた。「下ネタで盛り上げる役」として接待に呼ばれ、おじさんたちの期待に応えねばと思っていたが、結果的にセクハラを容認・助長させ、後輩女子にも悪影響を与えたと思う。

「こいつは中身おっさんだから」と褒め言葉のように言う男性がいるが、それは「名誉男性」という意味である。

(※名誉男性/男社会で成功して、男性優位な価値観やミソジニー(女性蔑視)を内面化している女性)

男社会で生き残るには「姫」になってチヤホヤされるか、「おっさん」になって同化するかの二択を迫られがちだ。そうやって地位を得た女性は、下手するとクインビー(女王蜂)になってしまう。

(※クインビー症候群/男社会で成功した名誉男性的な女性が、ほかの女性に厳しくあたることを表す言葉)

彼女らは「私が若いときはもっと大変だった」「これぐらい耐えられなくてどうする」「そんなんじゃやっていけない」と部活のしごき的なマインドで生きている。

そのため、後輩からセクハラ相談されても「気にしすぎじゃない?」「笑顔でスルーすればいいのよ」「おじさんは手のひらで転がすのが一番」などと返して、困っている女子をさらに追いつめる。こうして被害者が声をあげられない空気ができていく。

「人間よ、もう止せ、こんな事は」と私は高村光太郎顔で言いたい。男社会で女が分断されるのは、もう終わりにしようぢゃないか。

女王蜂も男社会でぼろぼろに傷ついてきたのだろう。傷ついた自分を認めたくなくて「こんなの大したことじゃない」と言い聞かせているのかもしれない。

でも、理不尽に傷つけられても耐えなきゃいけない社会が間違っている。そんな社会を変えるために、過去の傷つきをシェアしていこう。

そして「あらゆるハラスメント、人の尊厳を傷つける行為を許さない」と女たちが連帯すれば、すべての人が生きやすい社会になるだろう。

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