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あなたはできてる?ストレス発散・解消に必要な[カタルシス]のやり方

ライフスタイル

日々を過ごす中で、楽しいこともあれば、そうでないこともありますよね。特に社会に出れば自分の考えと合わずにイライラすることも多いのではないでしょうか。イライラを感じたり、ストレスが溜まった時、皆さんはどうしていますか?発散の仕方によっては、実はそれって逆効果だったりすることも。臨床心理士でもある筆者が、ストレスの発散法についてお伝えしていきます。

南 舞

なぜイライラするの?リビドーとタナトス

仕事や友人、家族などの対人関係のことであったり、あるいは疲れていたり、自分の思うように事が進まない時も、ストレスが溜まりイライラしやすいものですよね。そもそも、どうして私たちはイライラしてしまうのでしょうか?

心理学の中では有名な理論の一つ、精神分析学の創始者のジームクント・フロイトによると、人間の本能的な「性」「暴力」の衝動であるリビドーと呼ばれるものと、破壊的な本能のエネルギーであるタナトスがイライラの根本的な原因と提唱しています。タナトスとは「自分を破壊したいという衝動」でもあるため、人は無意識に自分のことを傷つけないようにするためにそのエネルギーを外へと向けようとします。なので、そもそも人は攻撃したいという欲求が本能的にあり、その攻撃的な欲求を色々な行動で発散しようとしているのです。攻撃的な欲求を浄化するための行動は、心理学用語で【カタルシス】と呼ばれます。

カタルシスとは

【カタルシス】と聞くと一見難しいように思えますが、抑えられていた感情がすっきりすることと理解すれば分かりやすいと思います。例えば、ゲーム・スポーツ・格闘技の観戦・格闘や暴力的なマンガを読む・ライブに行く、映画を見るなど日常で私たちが行っているこんなこともカタルシスに含まれます。

逆に、カタルシスのプロセスである「抑圧→解放→快感」の流れができているものは、ストレス発散の助けになると言えるでしょう。それはヨガをする中でも同じことが言えます。ヨガをすることですっきりすると感じるとすれば、ヨガのポーズ(アーサナ)や呼吸法をすることで、日々の緊張や疲労から身体と心を開放し、それが快感へとつながっているのでしょう。

アーサナ

このように、間接的な方法を含めて、私たちはカタルシスを得ようとしています。カタルシスを得ることで、人間の攻撃的な欲求は浄化され、ストレスの発散と心のバランスが整うのです。

良くないカタルシスって?

これまで紹介したのは、健全なカタルシスの得方だとすると、逆にあまり良くない方法でカタルシスを得る場合もあります。例えば、暴言を投げかける、陰で悪口を広める、匿名でネットに書き込むなどはその例。いわゆる、他人を傷つける方法でカタルシスを得る人もいます。こういった攻撃的であり悪質な方法は、ダイレクトに攻撃欲求が満たされやすいので、一時的には大きなカタルシスも得られ、クセにもなりやすいです。しかし、根本的な浄化行動にはなりづらく、逆に攻撃性ばかりがどんどん増してしまい、結果ストレスの解放にはなりづらいのです。

健全なストレス解消とは?

ストレスを開放しようとして逆にストレスが溜まってしまったら苦しくなってしまいますよね。ストレスを発散するにも様々な方法がありますが、「相手に攻撃を向ける」ことだけが発散方法にならないようにすると理想的。趣味でストレスを発散することももちろんのこと、日々のコミュニケーションの中でもできることはあります。

例えば、仕事でイライラすることがあるとしたら、その場で愚痴を言うのではなく、飲みの席にすると決めておくだけでも、自分と周囲のモチベーションが保たれます。また、夫婦げんかが起きると感情的になりやすく、相手を傷つけるような言葉を言いたくなることもあるかもしれません。しかしそこは一呼吸して、相手を傷つけ、おとしめるような言い方ではなく、お互いの主張をするように意識をしてみるだけでも、ケンカの質はグンと変わるでしょう。

まずは、今の自分にとってストレス解消となるものがあるかを見直してみましょう。もしないとしたら、ストレス発散になりそうな趣味を見つけてもよいし、難しければコミュニケーションの仕方を少し工夫するだけでも、ストレスからの浄化が進むかもしれませんね。

ライター/南 舞
臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」資格を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。

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