「MAQUIA」9月号では、誰もが魅せられる香り「ミス ディオール」を、ブランドアンバサダーの水原希子さんとともに深掘り。そこにあったのは、想いをつなぐ美しいハーモニーでした。
ミス ディオール。 愛のように香る香水
それは、1947年のこと。「愛のように香る香水をつくってください」。“ファッショナブルな”でもなく“印象的で個性的な”でもない。クリスチャン・ディオールが求めたのは「愛」を体現する香水でした。美しい調和を謳う新しい時代にこそまといたくなる、愛する人とあなたをつなぐ香りのハーモニーが、このボトルの中に。
ミス ディオール ブルーミング ブーケ オードゥ トワレ
シトラス、ピオニー、ローズ、ジャスミン……ロマンティックな花束のような香りになぜ私たちはこれほどまでに魅せられるのだろう?
50ml¥9000/パルファン・クリスチャン・ディオール
Miss Dior Secret Story
私のドレスが次から次へとボトルから現れ、
魅惑の香りで女性たちをドレスアップさせるために、
ミス ディオールを作りたいと思いました。
クリスチャン・ディオール
ミス ディオールにまつわる3つのキーワード
Fleur[花]
花々は女性の次に
最も神聖な創造物である
幸せな幼少期を過ごしたグランヴィルの邸宅の庭に咲き誇っていたバラ。終の棲家として購入したグラースのラ コル ノワール城で丹精を込めて慈しんだ花々たち。クリスチャン・ディオールにとって、花は幸せの記憶であるとともに、創作のインスピレーション、美の象徴であった。パリのアヴェニューモンテーニュ30番地のメゾンにはいつも花が溢れ、オートクチュールのショーでは自ら会場のフラワーアレンジメントの監修を手がけたという。大戦後の重苦しい空気が残るパリでクリスチャン・ディオールが送り出した、ウエストを絞り裾が広がった花束のようなドレスは、女性たちに笑顔を取り戻させた。そして彼女たちに大きな花束をプレゼントするように、花のようなドレスにふさわしい香りを作った。それがミス ディオールだ。
(右)1949年春夏 オートクチュール コレクションで発表された「千の花々が刺繍された」ミス ディオールのドレス。(上)このドレスにインスピレーションを受け、ラフ・シモンズが2013年に制作したナタリー・ポートマン着用のドレス。
La mode[ファッション]
香水は、女性らしい魅力に欠かせない
アイテムであり、ドレスの最後の
仕上げでもあるのです
クリスチャン・ディオールはエモーショナルな人だったという。ドレスにも形にできない感情を追求した。だからこそ、ドレスをまとった女性が自らの痕跡を残すために香水が必要だと考え、1947年の自身の初のオートクチュールコレクションと同時に香水ミス ディオールを発表した。ドレスのコロール ラインを反映し、バカラに依頼したアンフォラ型の美しい曲線を描くボトル。ショーの会場を包んでいたのもこの香りだった。
(右)最初のミス ディオールのボトル。(下)1949年のコクレクションのために作られた「スーツのように裁断された」ボトル。ボウをあしらい、男性用とされていた千鳥格子をフェミニンなモチーフに昇華したデザインは、現在のボトルにも受け継がれている。
L'amour[愛]
私は女性を美しくするだけでなく、幸せにしたい
ミス ディオールとは、クリスチャン・ディオールの12歳年下の妹、カトリーヌ・ディオールのこと。戦時中に強制収容所に送られ、深い苦しみを味わい、奇跡的に生還した最愛の妹への「再生」の印としての香水。のちに南仏でバラ栽培を手掛けることになったカトリーヌは自分に厳しく、非常に芯の強い女性だったそう。愛に生き、自らの意志で未来を切り拓く力をもった女性。甘いだけではない。ミス ディオールの香りに込められたのはそんな女性像。
1930年頃のカトリーヌ・ディオール。90歳で亡くなるまでミス ディオールをつけていたそう。
“what would you do for love?”ミス ディオールの永遠のテーマ「愛」をCMではナタリーが表現。