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北野武ら天才の「クリエイティブの秘訣」を集めた107の人生のヒント

エンタメ

いつの時代も人の心を豊かにしてくれるものとして欠かせないのは、創造力。本来は周囲に制限されることなく自由なクリエイティビティを誰もが持っているはずですが、社会に出ると、創造力を発揮させるのが難しいと感じている人も多いのでは? そこで、今回は世界中の著名人たちに「あなたはなぜクリエイティブなのですか?(Why are you creative?)」というシンプルな質問を30年以上も投げかけ続けているこちらの方に、“クリエイティブになるための秘訣”を教えていただきました。

創造性を広げるヒントを感じて欲しい

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ウィレム・デフォー

―確かに、この作品を観ると、背中を押されるような感覚がありました。

監督 僕はこの映画を通して、そういった思いを多くの人と共有したいですし、それがみなさんにとって刺激になってくれたらうれしいです。実際、さまざまな場所で試写会を行いましたが、上映後にはいろいろな人が僕のところにやってきて、「いままで悩んでいたけれど、創造性が広がるヒントになった」といった声をたくさん耳にしました。

そんなふうに、問題解決の糸口になったり、創作活動に対する姿勢を変える力がこの作品にあるのなら、作り手としては幸せなことです。

―本作を観る前までは、クリエイティブであることを求められるのはアーティストや芸術などに関係する人たちだけだと思っていましたが、実はクリエイティビティには非常に多面的な意味があることがわかりました。それだけに、誰もがクリエイティブであるべきだと思いますが、世界中の人々がみなクリエイティブになったら、どんな世界に変わると思いますか?

監督 OBSときて、次の文字は〇(ここからは、みなさんもどんな単語が完成するか一緒にお考え下さい)。それはもちろん、よりよい世界になるだろうね! きっと、いまよりも彩り豊かになるんじゃないかな。いまあなたが着ている服みたいにね(笑)!

―(驚)。実は、今日の個人的な裏テーマとして、自分が持っているなかで一番クリエイティブだと思う服(胸元にいろんな色が混ざった刺繍と特殊なデザインが施された黒地のトップス)を着てきました。まさか気がついていただけるとは思わなかったので光栄ですし、さすが監督です!

監督 (笑)。いや、いい服を選んできたよね。完璧なチョイスだよ!

監督が思うもっともクリエイティブな人物とは?

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―ありがとうございます。では、次の質問です。これまでに1000人以上の著名人の方々にお会いになったということですが、そのなかで監督がもっともクリエイティブだと思ったのはどなたですか?

監督 (新たな一文字を書きながら)それは、やっぱりデヴィッド・ボウイですね。彼は非常に独創性にあふれた人だったので、亡くなってしまったことが残念でなりません。つねに新鮮なアイディアをどんどん生み出していましたし、人としても素晴らしい人でしたよ。僕は彼が70年代後半にイギー・ポップとベルリンに住んでいたときからの付き合いだったので、何度か取材をさせてもらうことができました。

そのなかで、僕は窓のほうを向いて話していて、彼はソファでカメラに向かって答えているというシュールな構図にしましたが、あれはあるアーティストがBBCの取材を受けるときに、「人間が逆さまになって足が話しているような設定にしたらどうか?」という発想があったというエピソードを聞いて決めたもの。でも、そんなふうに、毎回違う何かをしようとする姿勢が本当に素晴らしいと思います。

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デヴィッド・ボウイとハーマン・ヴァスケ監督

―あのシーンは非常に印象的でした。どの方も本当に大物の方々でしたが、突撃取材などもあったようなので、ハプニングに見舞われたことはありませんでしたか?

監督 OBS〇〇ときて、今度もさっきと同じ〇かな。もちろんありましたよ。そのなかでひとつ話すとしたら、のちに一緒に映画を作ることになった俳優のハーヴェイ・カイテルに会いたいと思っていたときのこと。雪が降っていて、すごく寒い1月のニューヨークでした。

まず彼のアシスタントの電話番号を手に入れたので、そこに連絡してみると、「自分じゃわからないからマネージャーに連絡して」ということで、マネージャーに連絡すると、今度は「パブリシストに連絡して」と言われ、次は「私じゃなくてエージェントに」と言われ、25分以上かけてようやくたどり着いたのに、「いや、無理です」と断られてしまったんです。

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ジュリアン・シュナーベルとハーマン・ヴァスケ監督

―見事なまでのたらい回しですね(笑)。その後、どうされたのでしょうか?

監督 その日に取材をしたジュリアン・シュナーベル監督に「今日はこんなことがあったんだ」とたまたま話をしました。そしたら、取材のあとにホテルに戻ると、部屋の留守番電話に「ジュリアン・シュナーベル監督の推薦があったので、木曜か金曜にハーヴェイ・カイテルを取材できますよ」とメッセージが入っていたんです。

そのおかげで、一緒に映画を撮ることにもなるのですが、僕はクリエイティブなコミュニティに助けてもらうことが本当にたくさんありました。そこで、クリエイティブであることと同時に、寛容であることも大事なことだと改めて痛感したのです。「もう負けた」と思ったときに限って、「9回裏で大逆転して勝利!」みたいなエピソードが僕には数多くあるんですよ。

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ダライ・ラマ

―それはやはり、これだけの方々から話を引き出せる監督の魅力もあると思います。少し話は変わりますが、劇中で1つ気になったことがあるのでお聞きしてもいいですか? エピソードの合間にたびたびお寺の鐘が鳴るような演出がされていましたが、日本では煩悩を取り払うために除夜の鐘を鳴らしたりします。もしかして、同じような意味が込められていたりしますか?

監督 (ひとつ文字を追加して)いや、そういう意図ではなかったけど、それは興味深いおもしろい話だね! つまり、僕は知らないうちに正しいことをしていたということが言えるんだね。

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