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可能性が広がるこだわりを受け継いだリノベーション住宅の暮らし

荻窪から徒歩十数分のところにある築約40年のリノベーション済み住宅を購入した小林大介さん、菜穂子さんご夫妻。「感覚が似ていた」という、前の住人のこだわりを受け継いだ。

中央線の荻窪駅から歩いて10数分ほどのところに、小林大介さんと菜穂子さんご夫妻が暮らす住まいがある。
元々、高円寺の戸建ての賃貸物件に暮らしていた二人。その頃から中央線沿線に絞って物件を探していたという。
「中央線の気どっていない雰囲気が好きなんです。夫婦そろって戸建で育ってきたので、マンションという選択肢はありませんでした」と大介さん。しかし、なかなか理想の物件と出会うことがなく、探しはじめて3年後、ようやく出会った物件は築約40年のリノベーション済みの住宅だった。
元々の住人であるイギリス人のご夫妻とレトロな趣きが好きという感覚が似ていると感じたご夫妻。「それまでに10軒以上を見ていましたが、内見したときに、実家に帰ったような落ち着きをおぼえました」と振り返る。そして内見当日に、購入を決めたという。

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「旗竿地は住んでみたら、周りの目線が気にならないし、明るすぎないので、かえって良かった」と菜穂子さん。その言葉通り、カーテンをつけずに風通しの良い開放的なリビング。

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菜穂子さんが目指すリビングのイメージは「昭和の応接間」。ベロア生地のソファーがアクセント。

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前の住人による手作りの照明。ホームセンターで部品を集めて作ったという。

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庭には梅や金木犀、椿が植えられている。生活に庭仕事が加わったことで、以前より季節の移ろいを感じられるようになった。

この家の築年数は40年以上だが、前の住人によって床は張り替えられており、ほとんどの窓が二重サッシになっている。照明や冷蔵庫、エアコン等も残していってくれたため、住むにあたって、改修をしたのはトイレのみ。
「元々、住みやすくリノベーションされていたから、ほとんど自分たちはいじっていないんです。手を入れたのは、階段や2階廊下の壁をDIYで漆喰にしたくらい」と大介さん。すでに自分たちの好みに近く、ベースがある程度出来上がっていたことも購入の決めてのひとつだった。
「持っていたアンティークの家具や民芸品の雰囲気がこの家にしっくりきた」と話すのは菜穂子さん。「家具を、これはここかな?と配置するのが楽しかったです」と笑う。お気に入りの家具や民芸品が飾られるダイニングルームは、小林ご夫妻にとって特にお気に入りの場所となっている。

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和室の名残を残してリノベーションされたダイニング。ちょうど良いほの暗さと、窓越しに見える庭の緑がお気に入り。

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骨董屋で見つけたというアンティークのテーブルの脚に、後日福生の古道具屋で購入した天板を載せた。椅子はあえて揃えずにそれぞれ形の違うものを選んだ。

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この部屋で金魚を眺めながら作業をするのがお気に入りという大介さん。特に夜は、かすかな水音がとても落ち着くそうだ。

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カメラマンという仕事柄、地方や海外へ行くことの多い大介さんが各地で買ってきた民芸品、菜穂子さんが趣味で集めた鉱物などが飾られている。

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たっぷりとした作業スペースが特徴的なキッチン。

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冷蔵庫にも、大介さんが各地から買ってきたご当地マグネットがぎっしり。

小林さん邸は、玄関からリビング、ダイニング、キッチン、洗面所まで、どの部屋も窓から入る光で自然な明るさに満ちている。また、窓を開けはなつと、心地良い風が家中をかけめぐる。
「緑が見えて、風が入ってくる感じが前の家にはなかったですね。一日のうちに光の入り方がどんどん変わって家のあちこちに陰影ができるのも、風情があって気に入っています」。風や緑、光のある暮らしがこれまでの生活との大きな違いと大介さんは語る。

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内見の際、実家の玄関を連想し好印象を持ったというゆとりのあるエントランス。

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玄関からリビングを見る。すりガラスに差し込む光が玄関スペースを自然な明るさに。右手に見える階段の木の格子が和モダンな雰囲気を作る。

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夫妻が洗面所に取り付けたのは、益子の骨董屋で見つけたという大きな鏡。鏡面に印刷された三桁の電話番号が歴史を感じさせる。

この家に暮らし始めて約5カ月。落ち着きを感じるレトロな佇まいは二人の生活にぴったりと寄り添い、菜穂子さんは「仕事で忙しい日々が続いても家に帰ってくると心からくつろげます」と頷く。
「以前住まれていたイギリス人のご夫妻も、この家を気に入り、愛情を持って手をかけていたからこそ、この味わいが生まれたのだと思います」と話す大介さん。今後は、庭に縁側をつくったり、リビングの扉をオーダーしたりしてさらに手をかけ、大切に住みついでいくつもりだと、楽しみな計画を教えてくれた。

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